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【僕たちは母を介護する】-30「衰弱」

ちょうど面会時間が終わったので、「また来るね」と伝え、部屋を出た。
すると担当医が来られ、
「少し時間ありますか」
と尋ねられた。
私は「大丈夫です」と言うと、「こちらへ」と別室に進んだ。

弟と部屋に入り椅子に座ると先生が、
「かなり衰弱していますが、人工肛門も問題なく、尿の出も正常です」
「そうですか。よかったです」
「今は脳もしっかりしていると思います」
先日のせん妄の件を言われているのだろう、私たちはただ頷いた。
「現在の治療は酸素吸入のみで、血圧の薬も入れていません。ただ、食べ物を摂っていないことで、筋力が衰えてしまっていることにより衰弱しているのだと思います」
なるほど、確かにあれから18日間、食事をしていない。
点滴だけでここまでくれば衰弱もするだろう。
しかし、食事ができるのであろうか、そう疑問に思うと先生からこう告げられた。
「明日、血液検査を行い異常がなければ、鼻から管をいれ食べ物を注入します。その際、誤嚥性肺炎のリスクがあることを理解してください」
これまでもだが、他に方法がないのかなど尋ねられない。医学の知識もないし、その方法を理解できるかもわからないので先生を信頼し、
「わかりました。すべて先生のご判断にお任せします」
と伝えた。

「わかりました。また明日ご連絡します。あと看護師より別の説明があるので、少しお待ちいただけますか」
「はい、わかりました」
そう言って、先生は部屋を出た。
5分もしないうちに女性の看護師が入ってきた。
御袋の病室にいた看護師と服の色やデザインが違った。しかし名札には看護師と書かれている。



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