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【吉村秀樹さんと僕】
僕にとってブッチャーズの吉村秀樹さんはとても大切な人だ。同時代を生きている人の中で心から共感できたただひとりの人だからだ。
ブッチャーズのライブには何回か行った。いつでもそれは素晴らしかった。轟音なのに繊細な響きのギターサウンド。決してうまいとは言えない歌唱力。商業的には全く売れない悔しさを抱えながら、何かを伝えようとする誠実さは200%のバンド。まるで、現実の厳しさの前でもがく自分を見ているようだった。ライブで熱狂しながら、彼らを応援する自分。ブッチャーズを応援しているのか、バンドに自分を投影して逆境にある自分を奮い立たせようとしていたのか?きっとどちらも真実だったのだろう。
僕は吉村さんに伝えた。
「吉村さん、僕はずっとあなたを尊敬してました。心の支えでした」
吉村さん。
「俺は決して他人から尊敬されるような人間じゃないよ」
吉村さんは笑いながら淡々と握手をしてくれた。あの笑顔がまるで昨日のことのようだ。
けれど、吉村さんはそれから程なくして突然帰らぬ人となった。それは2013年5月27日のことだった。あれからもうじき8年の歳月が過ぎようとしている。
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