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写真展をはじめるために、|その場に染まる#01
ぼくは来年の春、2025年の春に写真展を開催する。
今、ぼくの暮らす松本市で
今、ぼくの周りにいる人たちに向けた写真展。
いつかは、いつかは、と考えた写真展だけど、いつもぼくは諦める方法ばかり考えていた。
ぼくは有名じゃないから、そんなものやって何になるんだ、誰が見たいというのだ、って具合にいつも諦める言い訳を探して、いつも心にしこりを残したまま生きてきた。
それも、今回で終わり。
ぼくは今回一人でギャラリーを貸し切って、展示をする。
ぼくの写真で空間を埋め尽くして、ぼくの写真でその空間を作り出す。
今までも、何度か展示する機会はあったけれど、いつもそれは誰かにくっついて展示していただけで。
けど、今回はいつもと何もかもが違って、コンセプトも思いも、作品も空間もぼくが生み出すものたち。
”やまぐちなおとがつくりだす、最初の個展”
いつも「人」から、はじまる。
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いつか写真展をひらきたいと思い、計画しては崩れて、また計画をして、って今度こそは絶対にしよう。
そう思ったのは東京の企画展に今ぼくの自主企画でもある「UTSURU」の写真を持ち込んだ時だ。
展示するためには印刷は必須で、いざデジタルで見てたものが画面の外に具現化したとき、こんなにも圧がすごいものだったか、と驚いた。
自分の写真がこんな風になっているのかって、いろんな思いで始めたこの「UTSURU」は、間違っていなかったって気づいた。
そこから、ぼくはこの「UTSURU」の写真たちを展示するためにどうすればいいのかを考え始めた。
ただ展示したいだけじゃないからこそ、どうすればいいのかすごい悩んだ。
どこで展示するのか
どう展示するのか
どんな人に見てもらいたいのか
「UTSURU」は、被写体もやったことなければ、写ることも特にしてこなかった人が写って、いつもと変わらない表情を残す。
モノクロの世界で、彩りのない世界で、
その人がそこにいる意味を見つけだす。
この作品には、いつも人がいる。
ぼくだけじゃない。
ぼく以外の誰かの声や言葉、感情や気持ち、いろんなものがモノクロの世界で渦巻いて、”わたし”がここにいる意味を”写る”意味を見つけだす。
いつも見せるその笑顔が綺麗なのは当たり前、けど何かを伝えたいと勇気を出した人には、その人の想いがのる。
それがこの写真たちの魅力であって、「UTSURU」が存在する意味。
人がいることでそれは成り立っているだと思う。
綺麗な風景を撮るだけでもなければ
綺麗な顔を作り出すこともしない
その人から滲み出す強さが「UTSURU」の中にはいっぱい詰まってるんだ。
ぼくは一体、この写真たちのどんな景色を見たいんだろうか?
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大きなギャラリーに、僕が撮った写真が並んで、会場を埋め尽くす。
たくさん悩んでいます。
今だって、まだ悩んでいます。
けど、一緒に走ることを決めてくれた人がいます。
この写真展のために時間を使うことを選択してくれた人がいます。
その選択は間違っていなかった。って言って欲しいんです。
今、やまぐちなおとに関わったことを間違いだったと言わせないための、ぼくなりの覚悟なのかもしれない。
写真に写る人たちに、ぼくがそれらを写したことに、ちゃんと”意味”をつけれるんだろうって、思っている。
そのためならぼくは、今使える時間は全部使うんだ。
例えそれがどれだけつらいことでも、体力的にダメになっても、頭の中で思い描いた景色を見るまでは倒れるわけにも、時間を無駄に過ごすことも、無意味に過ごすこともね、きっとするわけにはいかないと思っています。
そう、ぼくはこの写真展に人生かけてる。
ぼくに今使える人生全部かけてる。
今のぼくがサボればサボるほどに、偽物になっていく。
ぼくは本物が見たい、ぼくの本物が見たい。
もしかしたらそれはみっともないことなのかもしれないね、どれだけ努力しても報われないこともあるのは知ってる。
結局ダメだったなんてよくあること、そんなことばっかりの人生だったよ。
いつだって頭をよぎるんだ、こんなことやってもダメかも、叶うことのない夢なのかもって、誰にとっても意味のないものなってしまったらどうしようって。
こんなにやっても結果が出なかったらどうしようって。
うまくできなかったらどうしようって。
でも、未来のぼくは絶対に、後悔しないよね。
それに未来のぼくは、今のぼくに期待したいんだよ。
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