27課メモ「可能動詞」1『みんなの日本語』
新聞を読んでいて、読めない漢字があった時、家族に何といいますか?子どもが親に聞く時なら「これなんて読む?」かもしれませんが、大人同士だったらどうでしょう。「ねぇ、これ読める?」ではないでしょうか。
能力を聞いているわけではなくて、今その場でそれができるかどうか。買い物袋が多いとき「ごめん、一つ持てる?」、そろそろ帰ろうかという時の「タクシー呼べる?」など。「~てもらえますか」「~ていただけますか」につながる依頼文ですが、これが一番「~ことができる」とは言い換えない使い方ではないかと個人的に思っています。
『みんなの日本語』ではこの用法の練習はないのですが、「すみません、この漢字読めますか?」「読めますよ。〇〇です。」「ごめんなさい、読めません」と動詞だけで単純なやりとりができるし、学生同士教室の中ですぐ使えるので、形を導入した後、口慣らしがわりに、私はこの練習をします。
細かいポイントでいくと、
料理を 作ります→料理が 作れます
と、を→がに変わるのですが、機械的にやっている学生は
一人で 行きます→一人が 行けます
という風に、助詞を全部「が」に変えたりしてしまうので要注意です。
可能動詞の最大の落とし穴は「書きます」も「書けます」も同じに聞こえている可能性があること。マスク越しならなおさらです。こちらの発音が学習者に同じに聞こえている可能性があるのはもちろん、学習者が本当は「読みます」と言っているのに、可能動詞をやっているというフィルターでこちらが「読めます」と聞いてしまっていたりします。この課は文字を使って、はっきり違いがわかるようにしたほうがいいかもしれません。
それから、今までの動詞の活用練習は「書いた」など、そこからの変化はなかったのに、「書けます・書けません・書けました・書けませんでした」と変化する上に「書ける・書けない・書けた・書けなかった」と普通形活用もできなければならないので、それぞれ練習が必要です。2グループになるので難しくはないことが救いです。
教科書では「書きます→書けます」と練習して、さあ、文型練習帳で練習しましょう、となった時「書きます→書けます・書ける」とできなければならないことに気づくと、あれ?となります。教科書本冊だけで練習していると丁寧形だけの練習になるのですが、文型練習帳や標準問題集では普通形接続もできなければならないので、学習者のレベルによってどこまでやるか考えておいたほうがいいと思います。
そのあたりのレベル差について、27課をサンプルに書こうと思います。
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