見出し画像

48課メモ「使役動詞」

使役動詞というと「グラウンドを走らせる」「廊下に立たせる」などのイメージが強いせいか、強制の意味が強調されすぎているように思います。『みんなの日本語』でも、親が子どもに何かをさせるという練習が最初にきていますが、個人的には「お弁当を持って行かせる」「小鳥にパンくずを食べさせる」といった対応する他動詞がない自動詞を他動詞化するほうに主眼をおいた教え方のほうが「感動させる」「思わせる」「考えさせる」のような中級で学ぶ使役を使った言葉につなげやすいのにな、と思います。(完全に私の個人的意見です)

とはいえ、現状、『みんなの日本語』が設定している目標は

「他者への行為の強制や許可・容認を表すことができる」

教え方の手引きp.186

となっているので、これにそって話します。
気をつけるべきは「(1)息子は料理を作りました」→「(2)息子に料理を作らせました」という変換練習を執拗にやらないということです。使役動詞を使った文を使うときに(1)の文を考えてから(2)にかえる、というようなことはないと思うからです。

練習B1にありますが、これはただの動詞の変換練習ぐらいに考えていいと思います。特にイラストに「私」がいないので、どうして使役の文にしなければならないかがわかりにくいと思っています。

48課の場面であげたような、自分を中心として、自分が弟や妹にやらせたことを話すようなときに使える状況で、中級ででてくる「感動させる」「考えさせる」につながる活用のルールを抑えることを中心に学習すればいいのかなと思います。

一つ注意することは、手引きには「笑わせます」「泣かせます」などの自分でコントロールできない行動を表す自動詞の使役文は扱わないとありますが、文型練習帳の例文にはでてきます。質問がでる可能性があります。どう対応するか準備をしていたほうがいいかもしれません。

すみません。初版にはあったのですが、2版ではなくなっていました。つまり、「笑わせます」などは教師が自主的にださなければ知らないままです。通常はそれでいいと思いますが、余裕のあるクラスなどでは紹介するのもいいかもしれません。

参考文献
初級教材における使役の「偏り」と使用実態 岩田一成2012
使役(態)に言及せずに「使役表現を教えるには」庵功雄201改訂

もくじへ