「から」の積み上げ『みんなの日本語』
※すみません。2022年4月10日にアップした時点では、20課について触れていませんでしたので、追記しました。(2022年4月11日記)
理由の「から」について、『みんなの日本語』ではどのように扱われているのか、まとめてみます。大切なことなのに練習Aの項目にたっていないため、見逃されているかもしれません。
(1)9課 丁寧形+から・から。
・今日は子どもの誕生日ですから、早く帰ります。(文型3他)
・どうして昨日早く帰りましたか。…用事がありましたから。(例文7他)
とにかく丁寧形にそのまま「から」をつけさえすれば理由が言えるので便利です。でも、あくまでも、次の段階に行くまで便宜上こう言っておけば用は足せるという言い方だと思っています。ここで学ぶ「から」の印象が強すぎて、学生も教師もこの域からでない弊害がでているように感じます。
(2-1)20課 普通形+から
・今 お腹いっぱいだから、なにも食べたくない。(例文6)
・ミラーさん、いつも元気ね。…うん、若いから。(問題)
動詞ではありませんが、「普通形+から」の形が出ています。負担にならないクラスであれば、ここから、「普通形+から」を使い始めてもいいと思います。
(2-2)31課 普通形+から
・みんな来たから、始めよう。(練習B-1他)
「から」の前を普通形にする練習があります。『教え方の手引き』には1行「前文(理由)」を普通形に変え、後文を意向形の文にし、つなげる練習」とありますが、練習Aの項目にもあがっていないし、文法解説にも書かれていないので見落としがちです。
全体が普通体でないと「普通形+から」にならないかと言われたらそうでもなくて、「甘くないですから、砂糖を足します」ではなく、「甘くないから砂糖を足します」という言い方もすると思うので、もっと積極的に「普通形+から」を使うように指導してもいいと思います。
(3)44課 普通形からです。
・難しい言葉は覚えにくいし、間違えやすいからです。(問題7)
これはどこにも取り立てて書いていないんですが、とても重要だと思います。進学やアルバイトの面接などでも「日本に来たのは、日本の文化に興味があったからです。」など、すぐ使える表現だからです。(あれ?)
とりあげて、練習したほうがいいと思います。
(4)48課 普通形からだ。
・体が丈夫になるからだ。(問題7)
これは、44課の「普通形からです」ができれば、ただ、文末が普通体になっただけなので、さほど重要ではないかもしれませんが、レポートなど普通体の文章を書く可能性もあるので、立ち止まってとりあげるべき項目だと思います。
というわけで、(2)(3)(4)は、本当は声高にいうほどのことでもないのかもしれませんが、なにしろ(1)の印象が強すぎて、(2)(3)(4)に進んでいかないばかりか、教師側がいつまでも(1)の話し方で話していて、一般的な日本語母語話者と語感が乖離してしまっているようにも感じます。「初級だから仕方がない」を言いわけにせずに学習を進めていきたいと思います。