指揮者に対する誤解のひとつは…ジョージ・セルの名言 忘れがたいことば

往年の大指揮者ジョージ・セルの残した言葉です。
"George Szell  A Life of Music"より引用しました。
なおたかが訳しております。

"われわれの職業(=指揮者)に対する誤解のひとつは、広報活動や、地域社会におけるオーケストラの地位などの、音楽的なことがら以外のことを強調しすぎることです。
これらのことは同じく重要ですが、最初に来るのは、音楽そのものです。
音楽に命を吹きこむことが、一番大切なテクニックです。
そして音楽を描き出すにはまず、作曲家を理解しなくてはなりません。
作曲家のメッセージを聴衆が理解するためには、指揮者がそれを理解する必要があります。
観光バスの運転手はまず、自分で道を知っていなければならないのです"

今の演奏家は、コンサートの途中マイク片手に”言葉で語る”ことが多いですが、正直演奏だけで、われわれ聴き手を納得させてほしいと思います。
能書きはいいから、”音楽”をやってくれ、そう思うんです。

セルは演奏はもちろん超一流、かつインタビューで聞く語りもいい。
ご紹介したことばも、いいですね。

”観光バスの運転手はまず、自分で道を知っていなければならないのです”

サービス精神とかホスピタリティのある運転手もいいですが、バスが目的地につかないんじゃ話にならない。
こういう間抜けな運転手みたいな演奏家が昨今…(以下略)

優先順位が違う。
まず”音楽”を第一に。
ルックスも、おしゃべりも、写真映りもどうでもいい。
音楽で、圧倒して欲しい。

なんて言うほど、聴いてませんけどね…
過去の演奏が、いいんですもの。
もっとも、演奏会に行く余裕もないし。

セルご本人の辛らつな言葉に、ライブ演奏の一回性のすばらしさを認めた上で、「二流の生演奏より、優秀な録音の方が音楽の価値を伝えうることもある」みたいなのがあったと思います。
セルのウォルトンの交響曲2番の録音が、ロンドンの批評家に「その曲の価値を一変させた」と言わしめた、とセル自身が語ってました(セルの英語のインタビューを聞いた記憶で書いております…おそらくそう言っていたと思います…)。
コンサートで評判よくなかったんです、ウォルトンの第2シンフォニー。
その後、セルの録音が登場し、評価が一変した…

ただし、セルはいっしょに働くには大変な人だったようです。
そのことについてはまた機会を改めて書きましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?