展覧会レポ:資生堂ギャラリー「あいだ に あるものー1970年代の資生堂雑誌広告からー」
【約2,900文字、写真約20枚】
初めて銀座の資生堂ギャラリーに行きました。その感想を書きます。
結論から言うと、資生堂のクリエイティブの面白さが端的に伝わる展示でした。特にデザインやコピーに携わる人におすすめの展覧会だと思います。
▶︎ アクセス
新橋駅と銀座駅の間くらいに位置しています。近くにはZARA、アバクロ、ユニクロなどがあります。そのほか、gggやノエビア銀座ギャラリーなど、企業が運営するギャラリーも付近に多いです。
住所:東京都中央区銀座8丁目8−3 資生堂銀座ビル B1F
▶︎ 資生堂ギャラリーとは
公式サイトにはものすごく細かい沿革が書かれており(全部は読みきれない)、深淵な歴史があることは読み取れました。しかし、事実よりも、どういう”思い”で資生堂がギャラリーを運営しているのかを書いてほしいです。そこで、資生堂の企業理念(ミッション)を調べました。
つまり、資生堂は美の可能性を広げ、新しい価値の発見・想像を行っている。その美の革新でより良い世界にする一環で、資生堂ギャラリーが運営されている、ということでしょうか。ただ資金を出すだけのメセナ活動とは違い、企業の考えとギャラリーの意義を紐付け、資生堂が主体的に運営していることをHPにわかりやすく書いていただくと納得感があると思いました。
▶︎ 「あいだ に あるものー1970年代の資生堂雑誌広告からー」
資生堂ギャラリーは大きく2部屋のみで構成されています。大展示室では過去のポスターや雑誌広告を展示、小展示室ではそれらのビジュアルイメージを映像と音のインスタレーションにして展示しています。
全体で感じたことは、短いコピーとレイアウト(余白)の面白さでした。
化粧品の良し悪しは使ってみないと分からない。使ってみよう、手にとってみよう、その前にまずは目に留まることが大切です。そこで化粧品メーカーにとって、広告やラッピングが力を入れるポイントになります。
クリエイティブは、文字一つ、余白、その配置の使い方が1mm変わっただけでも印象がガラッと変わります。ライターやデザイナーの腕の見せ所でしょう。そこには無限の可能性があり、それが私には面白く感じました。
「あいだ に あるもの」という展覧会タイトルの「に」の前後に半角スペースが空いているのも面白いアイデアと思いました(今気づきました)。
▶︎ まとめ
いかがだったでしょうか。資生堂が考える「あいだ」やコピーの面白さが端的に伝わってきました。デザインやコピーに関する仕事をしている方、またそれに携わる企業の方にはインスピレーションが得られる展覧会だと思いました。また資生堂のクリエイティブの高さも伝わりました。
なお、このような場を通してもう少し直接的に資生堂のミッション、フィロソフィーが通じる工夫があれば良いと思いました。
▶︎ おまけ(統合報告書)
ギャラリーを作るくらい資生堂はクリエイティブに凝っているので、統合報告書はどうなのか見てみました。
冊子形式ではなく「オンライン 統合レポート」として、webでコンテンツをわかりやすく見せる工夫をしています。テキスト版も作成していますが、基本はwebページをA4にして体裁を整えているだけのようです(136ページと大ボリュームで読みきれない…)。
ある程度ビジュアライズされているものの、広告とは違い、HPのトンマナに合わせて報告書っぽいつくりになっています。全体から何となく資生堂っぽさは伝わってきますが、冒頭や各所に製品やビジュアルの写真を入れた方が、初めて資生堂を知る人にとって何の会社か分かりやすいと思いました。
「オンライン 統合レポート」の内容は、基本的に会社HPに同じことが書かれているし、”統合報告書”をつくるのであれば、冊子形式の方が私は分かりやすいと思います。読者(投資家)はどう感じているのでしょうかね…?