はじめて日本教育工学会の全国大会で発表する人のための原稿テンプレート(私家版)を公開します
日本教育工学会(JSET)の全国大会の発表原稿の作成のときに使える「私家版!JSET全国大会原稿テンプレート(以下、私家版と呼びます)」を公開します。
日本教育工学会以外でも原稿2ページくらいの学会発表の原稿作成の参考になるかもしれません。
(2022年6月9日追記)参考文献のインデントが1つずれていたので修正しました。
私家版テンプレートの特徴(効能)は次のとおりです。
私家版テンプレートを上書きしていけば、最低限の形式が整った原稿ができる。
各パートで何を書くべきか、何を注意すべきかが本文中に書かれているので、それを読みながら原稿を作成することで、形式だけでなく、内容面の最低限のチェックもできる。
チェックポイントを指摘されても具体的にどうすればよいかがわかりにくいものだが、このテンプレート自体がそれらのチェックポイントをクリアした事例なので、そのまま参考にできる。
日本教育工学会の全国大会で初めて発表するため原稿の形式がよくわからない人や、学生を指導する教員などに活用していただければ嬉しいです。私家版テンプレートを使って原稿作成をすれば、形式と最低限の内容が整うことが期待できます。そうすることで、これまで形式のチェックや修正に費やしていた時間を、発表内容のチェックやブラッシュアップに使うことができます。みなさまの貴重な時間を少しでも節約できればうれしいです。
以下は、余談です。
実は、日本教育工学会の全国大会のサイトには「原稿テンプレート(以下、本家のテンプレートと呼びます)」が掲載されています。しかしながら、これはなぜか発表キーワードを羅列することに命を懸けているような内容で、発表初心者が参考にしようとしても、せいぜいタイトル・発表者・所属・キーワード・あらましの書き方の参考にしかなりません。
もちろん、過去の発表原稿を見本として使うことはできるのですが、発表初心者には見本のどの部分がお作法に基づいているのかを見極めることが困難でしょう。たとえば、図のタイトルは図の下に書き、表のタイトルは表の上に書くというお作法がありますが、それが「お作法」であることがわかるのは、それを知っているからです。知らなければ、どちらでもよいと思ってしまうかもしれません。また、日本教育工学会の論文の「執筆の手引き」も参考にはなりますが、発表初心者には情報過多でしょう。
なので、最低限のお作法を記した私家版の原稿テンプレートを作成し、2021年度の日本教育工学会秋季全国大会で発表しました。「本家のテンプレートが使えないから、勝手に作ったぞ」というある意味、無礼な発表だったのですが、これを機会に本家のテンプレートも改訂されたらいいなと考えていました。本家のテンプレートがまともになれば、この私家版は不要になるので、それを期待していました。
しかし、2022年度の全国大会のサイトには、これまでどおりのテンプレートが掲載されていました。ということは今年も私家版の需要があるということになります。私家版の内容自体は2021年度の日本教育工学会秋季全国大会の予稿集に掲載されていますが、PDFなのでそのままでは原稿テンプレートとして使えません。Wordファイル版は、私の指導学生にのみ配布していたのですが、もしかしたら他にも使ってくれる人がいるかもしれないと考え、今回、公開することにしました。
…それにしても本家のテンプレートはなぜキーワードの羅列になっているのでしょうか。ひょっとすると日本教育工学会の全国大会では「タイトル・発表者・所属・キーワード・あらまし」だけを形式通りに書けば、あとはどう書こうが自由なのかもしれません。教育工学は学際領域なので、それぞれの発表者のバックグラウンドの領域に即した書き方を認めているのかもしれません。そうだとすると、2021年度の発表で「日本教育工学会の公式テンプレートは実用に耐えない」なんて書いてしまったのは言いがかりになってしまいます。もしそうだとすればお詫びします。ごめんなさい。
なお、2022年度日本教育工学会秋季全国大会の発表申し込みは6月21日(火)17時までです。カルッツかわさきかオンライン会場でお会いしましょう。