踏切
長い旅をしてきたみたいに
終点を見つけたみたいに
ただたちどまって
伸びた前髪を掠る
はげしい音に目を細めた
ゴールテープだと思えば
思いきり駆け抜けられるのに
向こう側に未来はないと
わかっているから
足がすくんで動けない
ぼくは弱虫だから
隣にいると言ったくせに
その唇は嘘ばかりが得意
もう会えないけど
すべてをかき消すほどのノイズのなか
ぼくの声が
できればどうか聞こえていますように
きみがいたこの世界は
痛みしか与えてはくれないけれど
それより
きみを忘れてしまうことのほうが
ぼくは怖いんだ
かわいいきみの笑った顔もぜんぶ
おぼえている
できれば命に終わりがくるまでは
きみがいたこの世界に
たったひとりきりでもかまわないから
ぼくだけ
きみを忘れてしまわないようにと
つよく誓うんだ
まるでハードルみたいだね
高く跳ぶ準備はできてる
足をとられるイメージしか
わかないくせにね
ああ、身体が動かない
ぼくは弱虫だから
つれてってほしかったのに
その唇は愛も囁かずに
固く閉じたまま
気が遠くなるくらいの夜空の下
瞳を閉じ
できればこのうたが届きますように
きみがいたこの世界は
けして美しいものではないけれど
それでも
きみを忘れてしまうことのほうが
ぼくは怖いんだ
愛しているよといったぼくのことを
おぼえている?
煌めく星の一部にかわるまでは
きみがいたこの世界に
たったひとりきりでもかまわないから
ぼくだけ
きみを忘れてしまわないようにと
つよく誓うんだ
すべてをかき消すほどのノイズのなか
ぼくの声が
できればどうか聞こえていますように
きみがいたこの世界は
痛みしか与えてはくれないけれど
それより
きみを忘れてしまうことのほうが
ぼくは怖いんだ
かわいいきみの笑った顔もぜんぶ
おぼえている
できれば命に終わりがくるまでは
きみがいたこの世界に
たったひとりきりでもかまわないから
ぼくだけ
きみを忘れてしまわないようにと
つよく誓うんだ
誓うんだ
つよくつよく
ただ、誓うんだ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?