なぜnoteをはじめたのか: 『同人女の感情』が大好きだから。
表題のとおりである。
ちょこちょこ拝見する「忙しい人向け要約」という手法が、いいな……と思っていたので真似をしてみた。
表題のとおりである。
私は『同人女の感情』が大好きだ。
だから同人クラスタの端くれとして、「私もこのキャラ達みたいになんかそういう思ったこと色々言いたい!」と思ったのだ。そのひとつの答えがnoteに綴る、だった。
早い話が、憧れである。
ではなぜそこに至ったのかという話を深堀したい。
「○○という見方もあるが」「○○な方もいらっしゃるかと思うけれど」という視点は無しに、私がいかにこの作品を大切に思っているかを長々と語りたい。
何を置いてもまずは作品の紹介
『同人女の感情』とは『私のジャンルに「神」がいます』の続編で、二次創作に人生を注ぐ同人女達の激情を赤裸々に描いた真田つづるの話題作だ。私はそれらを通して大好きだ。
公開当時、突如SNSのトレンドに現れた謎の名“おけけパワー中島”。それは序章だった。
“おけけパワー中島“というパワーワードを除いては、「なんだ、勿体つけといてさっぱりしたもんじゃん」と思わせただろうか。では続きをどうぞ。
ファーストインプレッション
「おけけパワー中島」……………………?
それはなんの前触れもなくタイムラインに現れた。なにかこう、嫌な感じがする名前である。とりあえず様子を見ようかと身構えたくなる名前である。私もそうした。
しかしその後も度々目にするその名前。一度聞くと忘がたいリズム。どうも語感が良い。私はその正体を知るべく相互フォロワーが拡散したツイートに添付された画像をタップした。運命のタップだった。
「!!!!!!!」
第一印象はそれだった。「※事実に基づいたフィクションです」とも言えそうではないか。キャラクターの感情が渦巻き磨かれ輝きまた曇っていく。その作品には諸行無常があった。
というか、十割それだった。魅力たっぷりでかわいらしいキャラクター達が、二次創作に荒ぶり精神をぶん回される。羨望や嫉妬、欲に執着。喜怒哀楽では言い表せない感情のシェイク。そんな日常ストーリーだった。
そしてその感情の欠片を、私は知っていた。
①キャラクターがかわいい。
テーマに反して非常に読みやすい。
感情が渦巻くということは、そこには激しさと醜さが存在する。それを目の当たりにするというのはいかんせん苦痛を伴う。
しかしこの作品は、画風によってそのハードルを越えさせてくれるのだ。それがなんと自然なことか。
私は絵を描かない(アイコン参照)ため、絵描きさんのご苦労は想像するしかない。また漫画を描くことはイラストの創作と異なる能力が求められるという。想像を超えている。
「キャラの描き分け」もまた難しいらしい。それは……なんとなく……想像できる。その上でもう一度作品を見てみる。
なんと個性豊かな面々であろうか。
チャーミングと緊迫感が行き来し時に混在する。
中には共感で思わず涙が浮かぶシーンもある。
しかしとにかく、シンプルに、読みやすい。
猛スピードで読めてしまうのに読み終わる度にロスが訪れる。
先述した、渦巻く感情を目の当たりにする苦痛が必要以上には訪れない。
そしてそこには、オタクの面倒くささがちゃんとある。でも大丈夫。
みんなかわいいから!!!!!!!
キャラが違えば当然思いは違う。ただ一つ共有しているのは、同人に生き悩み続けているということ。
②おけけパワー中島
ここまで読んでくださり、こう思っている方もいらっしゃるのではないだろうか。
「“おけけパワー中島”はどうした」と。
それは作中に登場する重要キャラクターの一人だ。この人物なしにこの作品は語れない。
以下ネタバレを含む。
『同人女の感情』が『私のジャンルに「神」がいます』(以降『ジャン神』)の続編であるというのは既にお話しした。
“おけけパワー中島”通称“おけパ”は、この『ジャン神』から登場する“綾城さん”という大人気字書きと親交の深いキャラクターで、おけパ自身も人気の字書きである。
このおけパ、なんとも愛らしいキャラクターなのだ。
明るく屈託のないコミュニケーションで人の心を掴み、時に逆撫でし、時に激しい嫉妬を買う。先述の“神”字書き綾城さんと親交が深いが故に、比較されけなされたり、いわれのない誹謗中傷をうけることもある。けれど彼女はそのスタイルを貫く。なんとも素晴らしいキャラクターではないか。
おけパは「ただのコミカルなにぎやかし」ではない。
同人女の感情を理解し、解きほぐす役を担っている。この役割、作中で担っている者は意外と少ない。
私は思う。彼女は一ジャンルに留まらず、あらゆる作品の原作から二次創作までを丸ごと愛し、同人という畑そのものを耕し続けてきた。彼女がいなければ、“神”字書き綾城も存在しなかったとすら思うのだ。
しかし出る杭は打たれるもので、彼女の元には悪意あるメッセージが度々届く。彼女はそれを受け流し、時に傷つき、時に綾城さんの言葉が彼女を救うこともある。なんと健気なことか。
おけパ中島。君には味方がいるぞ。あ、知ってるだろうけど。でもそれを忘れないで欲しい。がんばろうな。私は零細だけど。
当然ながらおけパや綾城さん以外にも魅力あふれるキャラクターがたくさん登場する。本当なら一人ひとり名前を挙げて語りたいところではあるが、そろそろ読者のみなさまが疲れてきていると思うので一旦は控えておく。
③これは強調しておきたい。
激情が心の声で表現されている。
会話ではない。ここがポイントだ。
もちろん会話は存在する。しかし物語の中心はあくまで“感情の揺れ”とその“独白”。あくまで、同人に狂った個、一人ひとりの感情、そう! “感情”!!! から溢れ出す感情で構成されているのだ(日本語が下手)!!!!!
これは、テーマがなんであれ珍しい構図ではなかろうか。一話一話に登場する中心人物、その一人ひとりの独白が集められたオムニバス。そして全ては同人につながっている。それが『ジャン神』、そして『同人女の感情』という名作に見る突出した魅力の一面だ。
この作品は、まさに「同人女の感情」なのだ。
あまりにもシンプル。無駄がない。全くのクリア。
同人、二次創作は、孤独だ。
──最後に。
二次創作は、気軽な気持ちでオープンにできる趣味ではない。しかしその存在は一定の認知度があり、経済をまわし、人の生活を救っている。
私は基本的にこの趣味を隠しているし、バレたら辞めるかもしれない。“なおり”という名前もnote専用でどこにも明かしていない。正直この記事を書くかどうかも非常に迷ったし、今も迷っている。
けれど、『ジャン神』を読み返してみてやはり書きたいと思った。
この作品は私にとって、創作意欲のブースターなのだ。
追伸
最近『同人男の感情 1』が発売された。
「1」。
「1」である。