女性学散策日記【4.ハリウッドを斬る!鑑賞】
Twitterで話題になっていたこのドキュメンタリー作品を観たくて(「返校」とか他にもいろいろ)、家族会議にかけて退会していたNetflixにやっと再登録した。
(なぜか同時にU-NEXTにも入会した、、、絶対に観切れない、、楽しみを通り越して絶対に観きれない映像コンテンツの海を前に腹立たしさと悔しさでストレスを感じている。)
この作品は軽い気持ちで観ることができるだろうとワインを飲みながら呑気に観始めたのだが、くすりと笑えるシーンは案外少なく(?)、時折「うーん」と声の出てしまう耳に痛いドキュメンタリーでもあった。
まず、紹介される映画はもちろん誰もが知っている有名な作品が多く、観て感動した作品や大好きな作品も含まれている。その映画やハリウッドあるあるが文字通り冷笑と共に斬られるのだから複雑な思いがする。女性学的な視点も多かったのでこの日記に感想をのこしたい。
例えば、恋愛ものあるあるとしてヒロインが不思議ちゃん(変な小動物を飼っている)、とか。「パーティであの子に話しかけるには」「イエスマン」「ティファニーで朝食を」が好きな私にとっては本当に無意識に受け入れていた設定だったとちょっと不意をつかれてしまった。このドキュメンタリーの中でそのことは、「男性は社会生活で疲れた時に、こういう(社会性とは縁のない)女性にあるがまま受け入れられて癒されたいという願望がある」みたいに語られていたと思うけど、そう考えると小説だけど坂口安吾の「白痴」なんてめちゃくちゃ斬られそうだ。。
もちろん、言ってくれてすっきりしたところもあって、例えば「逃げる時に女性はハイヒール」とか。映画の中での仕方なくハイヒールという設定を作っているものもあるだろうけど、そこまでしてハイヒールで恐竜から逃げないといけない女って、かわいそう。
違和感なく観ちゃってることもあるだろうからそれが映画の中の当たり前になっているんだろう。でもキャットウーマンの格好はたしかに戦う気ないだろって感じで、スーパーヒーローものが好きになれない理由だったりする。
他にも、黒人の描き方あるあるとして「グリーンブック」が斬られていたり、逆に定番を踏まえながら超えた演出や演技で一部の作品が高い評価をされたりしていたのはおもしろかった。
このドキュメンタリーで紹介されていたあるあるの含まれた映画には今後厳しい目を持ってしまいそうで素直に映画を楽しめないかもという不安も少々。その枠にはまっていたとしてもおもしろいものはおもしろいし、もう完全にださくなってるものもあるだろうし、そこはいい作品との出会いを求めて耐えるしかないかと思う。
映画はその時代を生きる人間の鏡になっている部分があると思うので、映画を楽しむ想像力、読解力を失わないままでも、作り手が作品世界に仕込んだバイアスに気が付く目は持ちたいと思った。
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