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アニメから見る世界と私の縮図

アニメからは現在の世界の縮図と自分の立ち位置を客観的に学ぶことができる。

ここに、私がアニメから感じていることをちょっとまとめてみようと思う。

※以下、とんでもなくネタバレのオンパレードです。

絶対的悪を倒す系

世界に絶対的な悪が存在し、それによって誰かが苦しんでいて、それを主人公(ヒーロー)が助け出す。悪に染まった世界を良い方向へ導くために敵を倒す。

子供向けアニメやアメコミ、Disney映画などもこっちの類かな。私が大好きなアニメで代表的なのはONE PIECEだ。

私から見たONE PIECEの世界

主人公ルフィを中心に、麦わら海賊団が敵を倒しながら世界を良い方向へ導いていくお話。

世界を自分たちの思うように牛耳って市民を苦しめているのは「世界政府」や「天竜人」。市民を守るはずの「海軍」は世界政府の言いなりで、天竜人の犯罪行為にすら目を瞑る。世界の犯罪者であるはずの海賊の中には、ルフィのようにあまり害のないタイプの海賊も存在するが、海軍の標的は害のあるなしに関わらずあくまで「海賊」であって、害のある天竜人ではない。

そんな歪んだ世界を正そうとする第三勢力「革命軍」の目的と、ただ自由と冒険を求めるルフィたちの感覚が一致することで、対立関係が明確になっていく。

普通に観ていると、
:世界政府や天竜人、彼らに言いなりの海軍
:ルフィたち、革命軍

という構造で、ルフィたちが勝ち進んでいく展開はストーリーとしてとても気持ちが良いし、応援したくなる。

最近では、海軍の中から革命軍寄りの考え方をする勢力や、海賊の中から海軍を裁く勢力などが登場し、より複雑化してリアルな感じがさすが尾田っちだなという気持ち。

ただ、これはあくまで「海賊」が主人公だからこうなるだけ。世界政府や海軍から見たら、ルフィたちの行動はもしかしたら極悪かもしれない。

私たちは誰か

ONE PIECEで言うと、私たちのキャラクターは市民ではなく「天竜人」という見方もできるだろうな。もちろん税金を好きに使いまくる政府という意見もあるだろうけど。天竜人の愚行の代表的なものは市民を金で買い、奴隷として罪なき人々の自由を奪う行為。

直接的に奴隷を飼ってはいないが、私たちは世界中で上位10%以内に入るほど恵まれた国で生きてる。そして、貧しい罪なき人々の自由を奪い、苦しめる行為に加担していることに目を瞑ってる。

綺麗な水が飲めること、シャワーが浴びられること、屋根の下で生活できること、ベッドで暖かい布団に包まれて眠れること、仕事があること、3食食べられること、着る服があること、教育が受けられること、何もしてないのに捕まるかもしれないという不安がないこと、明日殺されるかもしれないという恐怖がないこと、努力すれば人生どうにでも変えられる可能性があること、、、

今こんなに便利に生活できているのは、世界中にいる「現代奴隷」と呼ばれる、貧しい人々の血と涙の結晶。もっと安く!もっと便利に!もっともっと!と欲すれば欲するほど、現代奴隷の構造に間接的にでも加担してる。いや、それに気づいてるのに、それでも安い服を求める始末だ。円安だとか言って。

そこにルフィのような犯罪者だけど良い奴みたいなのが現れたら、損をするのは私たちだ。既得権益が奪われ世の中が便利ではなくなるから。そうなったら本当にルフィたちを応援するだろうか。


正義と正義の対立系

世界には絶対的な悪は存在せず、みんな自分なりの正義があるから対立する。視野を広げればどっちが悪でどっちが善なのかの判断は一概にはできないから、その場合の正義は作者の感覚に委ねられる。

HUNTER✖️HUNTER(キメラアント編)の世界

危険なアリ🐜「キメラアント」は人間を捕食することで、地球上の生物の頂点に君臨できるほどの、とんでもなく強い力をつけてしまう。

キメラアントの王メルエムは、世界に絶望していた。罪なき子供が飢え苦しみ、能力もないのに欲深く汚い大人が笑っているような世界に。そして全てを正すため、弱くても障害があっても生きるべき者は生かし、調和を乱し能力のない者は死ぬべきという世界へ統治しようとする。

人間たちの生きる場所を破壊し、食用の人間の生きる権利を奪い、実験のために人間の身体を死ぬまで弄ぶ。生きるべき人間はキメラアントが統治する保護地区で生き、生きるに値しない人間は食用として農場で飼う、そんな世界へ。

「アリを駆除しろ」とただ上からの命令を受け、主人公ゴンをはじめ、ハンター協会とキメラアントたちの戦いが始まるが、ハンター協会会長ネテロはアリの王メルエムがとんでもない悪ではなく、同じく感情のある生き物だと悟ってしまう。人間とアリの何が違うのか、と。

上からの指示、生きるに値しない人間たちの未来、アリと自分を含む人間の圧倒的な実力差、世界をただ正そうとするアリの本気、、、葛藤の中でネテロが出した結論は、深く考えないこと。ただ戦うこと。最終的に圧倒的な力の差で敗れたネテロは、自身の心臓に埋まっていたミニチュアローズという超小型爆弾を爆発させて死んでいく。爆発と同時に毒が広がり、近くにいた者の身体を内側から少しずつ蝕んでいき、やがて王メルエムの身体も衰弱していく。(現実世界でいう原爆と同じ)

ネテロが選んだのは力で勝つことではなく、負けを認めることでもなく、人類史上最も醜く残酷な爆弾を爆発させ、ただただ目の前の相手と共に心中することだった。人間に絶望し、世界に絶望し、自分の無力さに絶望し、どうすれば良いかわからなくなった所作だろう。

「人類が別の生物に統治される」という世界線で、アリという生物を出してくるあたり、冨樫の感性がすごすぎる。


その他もろもろ

キメラアント編に同じく、正義と正義の対立系で有名なのは「進撃の巨人」や「呪術廻戦」なども思い浮かぶ。(長くなるから割愛)

エレンと夏油傑、どちらもキャラクター的に「悪」に落ちたような感じになっているが、彼らもまた世界に絶望した結果だ。救いようのない格差社会、弱きを守り強きを砕く社会、震えている子供を叩き潰す世界、憎しみ合い殺し合う世界、終わりのない差別、、、そんなものいらないと思うことは正論だとすら思う。

それでも優しい人たちは愚かな人間たちのために戦い、愚かな人間たちを守り、そして優しい人たちの中から多くの犠牲を出す。現実世界はルフィのように全て思い通りにはいかず、もっと残酷で、優しい人間が損をするようにできている。自分を犠牲にしてまで他人を守るその優しい姿勢が正義かのように描かれるこの種の作品を観ていると、まあ精神的に病む。。


私がもしHUNTER ✖️ HUNTER の世界線にいたら、生きるに値しない人間たちかなあ。。今頃キメラアントに食べられてるわ。自分の欲ばっかり追求して、一歩外で起きている戦争に対してどこか他人事っていうか。

進撃だったら私は地鳴らしで潰されて、呪術だったら渋谷事変で何が起きてるかわからないまま死ぬんだろうな。。

こういう世界を見てアリたちは「何やってんだよ人間!!!」ってブチギレてんのに、それでもポケ〜〜っとしてる自分がいるのが怖い。一回アリにでも他の生物にでも逆襲されないと変われないのかもね。

現実の世界が平和になる日はいつ来るんだろう、じゃなくて、自分が何かアクションしないとだよね。

とりあえずこれからもベジタリアンとファストファッション買わないことだけは徹底しようと思う。戦争に関してはさ、何したらいいんだろ??募金とか?


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