猛スピードの変化についていけ
違う部署の少し年齢は上なのだが、入社が数年後、つまり後輩になる方が最近やたらと楽しそうに話してくれる。
「◯◯さん、知ってます!生成AIを使うと、画像や簡単な動画までできちゃうし、調べものもほんとにあっと言う間にテキスト化されるんですよ!」と。楽しそうに言って、自分で作った制作動画、テキストを見せてくれた。
少し間があり、私は
「この制作物すごいですね!これ◯◯さんが作ったんですか!すごいですね!」と絶賛していた。
心の中とは裏腹な回答であった。
なぜなら、生成AI技術の凄さ、機能、能力は自ら経験しているところで、しかもそれを触り始めたのは1年前なのだ。
この1年で生成AIはものすごいスピードで進化し、誰もが触りやすく、より素晴らしいものを作成出来るようになった。
えっ今その凄さに気が付いた?
えっ今それを私に伝えてどうするの?
どうしたいの?
といったのが私の本音だった。
ギャップがすごかった。
すでにChatGPTを使って文章作成、アイデア出しなど活用をはじめ、時間の短縮を進めていた。
まさか身近なところで、ようやくスタートをきりそれを自分が最先端ですといったかのような顔、口で言うとは考えもしなかった。
もちろん、私も遅れに遅れている。
それでもだ。
ここまでとは思わなかった。
どうしてあの時、絶賛してしまったのか。
理由は簡単だろう、シンプルに仕事を楽しそうにしていたからだ。
今までモンモンとしていた人が、新しいことに触れ、チャレンジして生み出すことが出来たのだ。
その喜び楽しみは、仕事という名の趣味に近い。
自分が成長するとはこういうことなのだろう。
成長の場を与えてあげる。それが今の私の役割。だから、シンプルに絶賛したのだと思う。
ただ迷うときもある。
ほんとにこんなレベルでいいのかと。
つまり彼は私より1年遅れをとっており、私たちは世界や最先端の方たちよりさらに遅れをとっている。
どんどん取り残されている。
彼はそれに気が付いているのだろうか。
もちろん私もだ。
この日本においてそれすら気が付かず、取り残されて行く可能もある。
今はそんなスピードだ。
変化を嫌い、現状維持はやはり淘汰される。
恐竜が絶滅し、人間が生き残ったように。馬車がなくなり自動車へ変化したように。はがきが淘汰され、メールに移行されたように。
時代とともに変化される。
その変化速度は50年10年といった速度ではなく、1年、半年といった猛スピードだ。
それでも人はコンフォートゾーン(安全地帯)に縛られてしまうから残念な生き物だ。