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チャラい音楽の再来

チャラいの再来が来ているなと、なんとなくだけど去年くらいから思っている。「チャラい」と言っても定義は色々ある。TikTokやインスタのリールで流れてくる横ノリダンスのヤリラフィたち、ドンキにたむろっている若者とか。アメリカなら、フラットボーイと言われるようなハウスパーティ三昧の白人大学生男子か、Jaded LondonやI.AM.GIAを着ているビバリーヒルズギャルあたりだろうか。もちろんこれらをチャラいの一言で形容するのはだいぶ偏見まじりなことは重々承知である。

人によって想像するチャラい人やチャラい物、チャラいのレベルって違うと思うけど、私がここで言うチャラいは、チャラい音楽のことだ。まず最初に、私はチャラい音楽というか、俗的な音楽が好きで、前のブログから書いているが、なんせ自分はドラマ『glee』やゴシップ雑誌GOSSIPSとかPeopleにどっぷりハマっていたタイプだ。

私がこの文脈で言うチャラい音楽を演るアーティストは、ブリトニーや、グウェン・ステファニー、ブラック・アイド・ピーズ、ファーギー、マイリー・サイラス、とか。いわゆるディズニーチャンネル出身セレブで、2000年代初期から2010年代にポップスをやっていた白人アーティスト。

今日この投稿を見て、ブリトリー・スピアーズはその当時過小評価されていたアーティストの一人だと改めて思わされたのだ。



正解に言うこのツイートの楽曲はブラック・アイド・ピーズのメンバー、ウィル・アイ・アムなのだが、フィーチャリングしているブリトニーのアイコニックさを、今から15年以上前の曲だが覚えている。と言っても彼女が2000年代初期に大ブレイクしていた時はまだ保育園くらいなのでその辺は現在進行形で体験していなかった。

https://open.spotify.com/album/0oFBaXLFsUVa2gEmJf4FcJ?si=iEO4csWRSoO6DT0s2eTYog


彼女がちょっとおかしくなってゴシップ誌の標的にされていた時期を経た後の(丸坊主事件)、『Britney Jean』あたりが個人的リアルタイムで聞いていた作品で、特に後者に収録されている"Perfume"なんかは、多分耳がもげるほど聞いたし今でもたまに聞くくらい好き。結構彼女の地声に近い低いキーで歌っていて、この曲のコーラスがやっぱり何度聞いてもすごく良い。


で、なんで最近「チャラい」が再評価されているのではないかと思ったかと言うと、元TikTokスターで去年"Diet Pepsi"で世間を驚かし、そして多くのティーンや若者のプレイリスト入りを果たしたアディソン・レイや、ピンナップ・ガール路線でカントリーやR&Bを取り入れながら現代のポップスを再興したとも言えるサブリーナ・カーペンターのようなシンガーの登場だ(テイト・マクレーも)。去年『brat』で大旋風を起こし、懐古主義とも言えるようなダンス/エレクトロミュージックを今風に再現したチャーリー・XCXはもちろんここ数年すでにポップ・アイコンとしてのポジションを固めているが、彼女の去年の動きや音楽性も、ここで私が思うチャラいの再評価を思わせた一人である。

チャーリーのbratツアーはMSG公演で爪痕を残したアディソン・レイについては以前にもそのリブランディングの凄さについて書いたが、やっぱり2025年は彼女のネクストアルバムが最もポップカルチャーの中では期待されていると思う。この"Aquamarine"も昔のマドンナを彷彿させるし、器械体操やダンスを子供の時からやっているのもあって、ダンサーとしてもかなり強い。

ブリトニーの回想録を読んでいる姿も話題になった。流石にこれはステージング感あるが


そして先日のバレンタイン・デーにリリースされた"High Fashion"も、かなり高精度なシングルだった。彼女のファン層である10代から20代前半に刺さる快楽的な歌詞も良い。中毒的な存在である相手からの愛情よりもデザイナーブランドを買う方がいいと歌うコーラスの歌詞は、自分の時間を費やすのに相応しくない恋愛を放棄するエンパワメント的な意味もありながら、デザイナーブランドを買う=リテール・セラピー(買い物セラピー)で心を癒そうとする空虚な物質主義を表現している。もちろん、ドラッグでハイになるというダブルミーニングもある。

"I don't need your drugs
I'd rather get, rather get high fashion
I don't want cheap love
I'd rather get high fashion”

彼女がルイジアナ出身ということもあり、"High Fashion"はニューオーリンズで撮影されたよう。ニューオーリンズ名物のお菓子ベニエも登場。

どれだけ彼女が音楽の方向性を決めているかがまだ不明瞭なところではあるけど、最近のプロモのインタヴューをざっと見た感じでは、音楽に対する本人の気合いはかなり純粋で本気に感じた。完成されたアルバムが出る時に話す内容を、しっかり聞いてみたいとも思う。

結局書いていくうちに、とりあえず2025年はアディソン・レイの音楽に注目しろ、みたいな内容になったが、チャラいが再来しているのではと思わされた瞬間は他にもある。

例えば、ガールズグループのXGは去年のワールドツアーでもチサがブリトニーの代表曲"Toxic"を披露し、最近の日本追加公演でも実際に私も見て大興奮したグウェン・ステファニーの"Luxurious"のジュリンのカヴァーは、今ソーシャルメディアでそのダンスがヴァイラル化している。

さらに、去年の8月にPitchforkでブリトニーのアルバム『Blackout』の振り返りレヴューで作品を再評価し、8.1という高得点をつけているライター(Meaghan Garvey)もいる。ちなみに彼女はアディソンの"High Fashion"のシングルレヴューも書いており、そこでも高評価している。

映画『名もなき者/A Complete Unknown』でボブ・ディランを演じるティモシー・シャラメも、映画のプロモインスタライブでブラック・アイド・ピーズの"I Gotta Feeling"に乗って踊る様子を見せた。


というわけで、どれほどの私のこのチャラい再来または再評価が的を得ているかはわからないしあくまでも個人的な肌感ではあるが、ポップ・ミュージックが去年から再熱して、再び楽しくなってきていることは間違いない。

しかしながら、これまでに述べたすべての白人アーティストによる音楽のルーツとインスパア源はあくまでも黒人アーティストたちだということ、ポップ・ミュージック自体が黒人音楽が元素だと言うことを最後にメンションして、このブログを終えたい。

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