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「ミロのヴィーナス」導入と終結のマイ決定版
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。このチャンネルでは、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと語っています。
おはようございます。日曜日の朝に録音しています。昨日の夜、私が所属している広島みおの会(「水脈」と書いて「みおの会」と読みます)という国語教育の研究会があり、そこで実践発表をしてきました。この発表は、先日夏に行われた大学の教育学部の学会でも発表した内容を基にしていますが、その時の様子は後々じっくりお伝えするとして、今回はその中の一部として取り組んだ、高等学校の定番教材「ミロのヴィーナス」という評論文の導入と終結についてお話ししたいと思います。
「ミロのヴィーナス」は定番教材で、私が高校生だった頃から使われていました。概要を簡単に説明しますと、皆さんご存知のルーブル美術館に展示されているミロのヴィーナスは、両腕を失っているからこそ、さまざまな想像をかき立て、芸術的な普遍的価値を持つという内容です。これはどの高等学校でもおそらく一学期に扱われると思いますが、私も何度も授業で取り上げ、その導入と終結に工夫をしてきました。
ミロのヴィーナスやルーブル美術館のような美術品は、生徒にとっては遠い存在です。過去に行った導入の一つとして、両腕のないミロのヴィーナスをプリントに印刷し、それに腕を描かせて復元案を試みさせるというものがあります。これをみんなで見合って感想を言い合うことで、興味を引き出す導入としていました。終結では、ミロのヴィーナスの美術展覧会を想定し、そのポスターやリーフレットを作るというパフォーマンス課題を行いました。楽しい活動ではありましたが、やや表面的で「やるためにやる」という感覚が拭えませんでした。
今回はその点を改善し、新たに大胆に試みたことが非常に良かったので、それを紹介したいと思います。
まず、生徒は美術作品の見方をあまり知らないだろうと思い、美術作品にはさまざまな仕掛けがあり、それがとても面白いものだということを感じてもらいたいと考えました。そこで、私が過去に大きな影響を受けた中野京子さんの『怖い絵』という本を参考にしました。この本は非常に面白く、私自身の美術作品を見る目を変えたもので、その中に「皇太子フェリペ・プロスペロの肖像」という絵があります。
この絵は、2歳くらいの男の子が女の子のドレスを着て、豪華な彫刻品の中に立っているというもので、非常に老成した表情をしており、ドレスには鈴が付いています。この絵には多くの仕掛けがあり、ちょっとした不安感を抱かせる不思議な絵です。生徒たちにこの絵を見せて、その謎解きを行いました。
この謎解きが生徒たちに大変好評で、みんなが「何なんだ、何なんだ」と興味を引かれ、非常に盛り上がりました。美術作品は、さまざまな知識や教養を背景にして鑑賞することで、解像度が上がるということを実感してもらうための導入として、非常に効果的でした。その後、ミロのヴィーナスを見ていくという展開にしました。
最終的な終結としては、パフォーマンス課題ではありませんが、両腕を失ったことによって新たな美を得て普遍的な存在になったというまとめをした後、「僕を探しに」という絵本と比較読みをしました。この絵本は、シルバスタイン作で倉橋由美子さんが訳した有名な外国の絵本です。
参考にした取り組みはこちら。
絵本の内容を簡単に紹介すると、「僕」という丸いキャラクターが欠けていて不完全な状態で、自分の欠けた部分を探しに行くという物語です。欠けた部分を探し、ぴったりと合うものを見つけて完全な円になると、今度は早く回転できるようになり、風景がどんどん過ぎ去ってしまう。結局、欠けているからこそ見える風景があり、欠けたままの方が豊かに幸せに生きていけることに気づくというストーリーです。
この比較読みが生徒に非常に響き、ワークシートに熱心に書き込み、興味を持って取り組んでいました。生徒たちは「欠けているからこそ生まれる価値がある」「不完全さが大切な何かを生み出す」というようなコメントを寄せ、2つの作品を上手に関連付けて考えることができました。
このように、パフォーマンス課題も大事ですが、無理に形にすることにこだわらず、生徒が熱中し、深く考える時間を提供することが重要だと感じました。この取り組みは、私の教育生活の中でも特にヒットしたもので、今後も「ミロのヴィーナス」を扱う際には、この絵本との比較読みを続けていきたいと思います。
今日は、私のマイ決定版である「ミロのヴィーナス」の導入と終結についてお話ししました。こんな感じで教材の工夫についても配信してほしいというリクエストがあれば、ぜひスター評価をお願いします。こんな内容が良いんだなということで、また私の工夫を配信したいと思います。それでは、今日はこの辺で。ありがとうございました。またお会いしましょう。