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従順なふりをして反発する【受動攻撃】


あなたの周りに、優しく従順に見えるのに時々ドキッとするような反抗的な態度を見せる方はいませんか?

普通の人でも、相手と状況によって、表面的には相手に合わせているのに、内面ではその相手が嫌いで隠れて反発していることがあります。

私たちの自己表現の仕方は大きく3つがあります。

(1)「自他尊重の自己表現」 自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するやり方。
(2)「攻撃的自己表現」 自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方。
(3)「受動的自己表現」 自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにするやり方。

もちろん、最も望ましいのは1番ですね。

自他尊重(アサーティブ)

自他尊重をアサーティブと言いますが、問題が起こったときに、怒りをぶつけたり、反対に気持ちを抑え込んで我慢したりせずに、自分の正直な気持ちを率直に伝え、同時に相手の気持ちも尊重するコミュニケーションです。

1.    自分の気持ち、考え、意見などが、正直に、率直に、その場に相応しい方法で表現される。
2.    意見や考えの食い違いが起こったときは、お互いの意見を出し合って、譲ったり、譲られたりしながら、双方にとって納得のいく結果を出そうとする。
3.    相手も自分も満足でき、お互いさわやかな気持ちになれる。

アサーティブな自己表現をするには、何よりもまず自分自身に正直であること、自分を信頼する姿勢が必要です。そして相手のことも信頼し、そして尊重することです。

攻撃的自己表現

それに対して、2の攻撃的自己表現をする人は、自分の言い分や気持ちを相手に押しつけて、言い負かす、一方的に命令する、操作しようとするといった行動があります。

「自分は正しいと思い込んでいる人」「自分の言い分を絶対に通したいと思っている人」「自分の考えが通らないことに不満を抱く人」などが陥りやすい傾向があります。

1.    自分の意見や考え、気持ちをはっきり表現する一方、相手の意見や気持ちを無視・軽視するので、結果的には、相手に自分の気持ちを押し付けることになってしまう。
2.    相手は押し付けられた嫌な気持ちが残り、軽く見られたり、バカにされた気持ちになり、支配されたように感じる人もいるだろう。
3.    自分の意向は通っても、押し付けがましさのために、後味が悪いことが多くなる。

このパターンの方は、いつも攻撃的ですから、対人関係でぶつかることが多く、「ワンマンだ」と思われることが多いでしょう。

受動的自己表現

3番の受動的自己表現をする人の特徴は、

1.    自分の気持ち、考え、意見を抑えて、素直に自己表現しない。
2.    自分の気持ちに正直ではなく、相手に対しても率直ではないので、相手が気づけない。
3.    自己否定的な気持ちや自信のなさが根底にある。
4.    相手に対して、「自分が譲歩してやった」という、恩着せがましい気持ちや、恨む気持ちが残ってしまう。

その結果、欲求不満から相手への恨みがたまって、突然感情を爆発させたり攻撃的になって関係をこじらせる場合があります。あるいは自分の中にストレスがたまって体の不調となって現れたりうつ状態になったりします。
 
自分の主張を控えて相手の思いを優先し、自ら譲っているつもりでいても、相手には違う思いでいることを理解されません。遠回りであいまいな表現をすることで、相手がイライラする場合もあります。

受動攻撃とは?

ところで、受動的な自己表現をする人のなかに、表面的には相手に屈服し、従順に従っているようであっても、内面には相手に対する強い反発心や憎しみがあり、巧妙に相手に復讐をしている場合があります。

特徴として次のようなことがあります。

でも、受動攻撃をしている本人は、
「自分はいつも相手に気を使って小さくなっているかわいそうな人間」と認識しています。

こういう方は相手に嫌われることを極度に恐れていますので、表立って反抗したりはしません。でもその相手が好きなのかといえば、そうではありません。

自分は相手に対して恨みや不満があるのに、相手には好かれたいのですね。

相手から理不尽なことを言われた場合、内面では腹が立っているのですが、それを表面には出さずに素直に従っているふりをして、周りの人に「こんなことを言われたんだけど・・」と、あくまで自分は犠牲者を装って相手の悪いイメージを植え付けたりします。

あるいは、相手に言われたことを、NOとは言わない代わりに、わざと遅くしたり、忘れたりします。心の奥底では「決してお前の言う通りにはならない」と思っているのです。
そして相手にイライラさせ、無能感を感じさせます。

こういう受動攻撃をしてしまうのはなぜでしょうか?

幼い頃、親からの愛た理解が足りないなかでガミガミ言われることが多く、親の言いなりになるしかない経験を多くすると、人というのは自分を支配する存在、自分を攻撃する存在だという信念があるのですね。

それで、攻撃されていると感じたときに、表面的に反発はできないものの、隠れて抵抗することで自分を守ろうとしているのです。

でも、自分の気持ちを素直に出さないでいると、結局は自分自身を信頼できなくなります。自分がいつも被害者、犠牲者という立場で、依存的な生き方になってしまいます。

表面的には従順に見えても時間が経てば必ず相手もその人の悪意に気づくことになるため、人間関係がいつもこじれてしまうようになります。

受動攻撃をやめるには?

こういう自己表現の仕方をやめて、気持ちよく自分の気持ちを伝え、幸せな人間関係を築くには、どうしたらいいでしょうか?

まずは、自分が幸せにならない自己表現の仕方をしていることに気づく必要があります。

その次に

1.こういうパターンになるしかなかった幼い頃の自分に向き合って、気持ちを素直に出せなかった辛さや悲しみを癒してあげることが大切です。

2.自分の感じていることにフタをしたまま、自分の気持ちを大切にしないまま生きてきたのは、自分を無視することにつながります。これからは、自分自身の気持ちを無視しないと決めましょう。

また、人に対しても「自分を攻撃する存在」だと決めつけて、不信し悪意に受け取っていたことが多かったことに気づきましょう。そして人を「自分より上か、下か」の2分法で観てきたことに気づきましょう。

3.今の生活のなかで、自分が感じていることに気づいていくことです。「今相手の言葉に、こんな風に感じたな」「今自分はこういう気持ちに襲われたな」と、その都度自分の気持ちを感じてあげましょう。


上記の3つができたら、今度は相手に対して自分の気持ちや意見を気持ちよく伝える番です。その方法については次回にお伝えしますね。

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Naomi Shimada
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