day82 別に真摯に向き合う必要なんて何処にもなかった話。
旦那さんが会社や仕事のことを話すとき、世の中の奥さま方はどのように聴くのだろうか。
以前、仲の良かった人にそのことを訊いてみたところ、仕事のことは分からないから、そうなんだー、と聞いてあげるだけ、と答えていたのが今でも忘れられない。
旦那さんの職場は、わたしの古巣だ。そして仕事内容もほぼ同じ。さらに同僚たちのことも知っていて、みんなと遊んだりすることもよくあった。
そんな『訳知り』な人間ゆえに、旦那さんは会社のことを話す。もちろん守秘義務があるので、それは全力で守るけれど。
会社は違えど、同じ[会社員]としての立場で、それらの話を聞くこともあった。
そして今は、フリーランスの立場でそれを聞いている。
先述の奥さまのように、何も知らない立場で受け流せるのが羨ましい、と何度思ったことだろうか。
フリーランスの立場で聞くことは、クライアントさんの悩みを聞くことと似ている。
職場の現状や問題点などを話すので、こちらもつい、解決策を考えてしまうのだ。
どう考えても、これって夫婦の会話ではないよなぁ、といつも思う。
これがクライアントさんなら、この先にデザインやブランディングの仕事があったり、占いというツールでいろいろ導く方法があるのだが、これらはすべて有料だ。
なぜなら、わたしの仕事だから。
それを、朝ごはんを食べながらとか、車の助手席に座りながらとか、そんなときに『これってどう思う?なおみんならどうする?』みたいなことを逐一問われるのだ。
正直、疲れる。
彼は会社員であり、解決策を伝えたところで解決するのは彼だけの役割ではない。
そして、それだけの思いや考えがあって言語化できるのなら、会社の人に問えばいいだろうと思うのだ。
実際、わたしのアドバイスを受けて社長と話したところ、社長も同じようなことを言ってた!という、どうでもいい結果を聞かされる。だったら最初から社長と話せよ。
と、旦那さんに向けてアレコレ苛立つことを書いているのだが、大切なことはそこではない。
旦那さんの無意味な悩み相談に対して、逐一クソ真面目に向き合っていた自分に呆れているのだ。
旦那さんの悩みのようでいて、それは彼の悩みではない。会社を変えたいと本気で思っているなら、わたしに相談するより社長や上司と本気で話せば済むことだ。
彼の場合、悩みを話しているのではない。
ねぇ、これって社長に言っても大丈夫?
という、単なる確認だ。くだらねぇ。そんくらい自分で考えやがれこのスットコドッコイが!と思ってしまう。
そして、そんなスットコドッコイに真面目に向き合っていたことで、彼に依存心を抱かせてしまっていたのは、更にスットコドッコイなわたしである。猛省。
自分で決めたくない。誰かに確認したい。太鼓判が欲しい。認められたい。
そのための存在として横にいるのは勘弁だ。わたしは認印ではない。
と、ずっとモヤモヤしていた違和感が、やっと言語化できたので書き記してみた次第。
妻として夫の話を聞いてやらねばみたいな思いがあったのだけれど、この場合ちょっと、いやかなり、意味が違うのだ。
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