day111 実家のこと、母と兄と猫のこと。
今日、あの日から11年。
幸い、わたしの周りの人たちはみんなそれぞれ生きている。ただ、やっぱりそれなりに11年分歳を取った。
地元はいわゆる被災地で、わたしが子供の頃過ごした場所は、今は嵩上げされ道路になっている。実家と呼べる家はそもそもないのだが、母は兄が建てた家で一緒に暮らしている。
母は今年で80歳、約10歳上の兄は先月56歳になった。
そんな兄は昨年末、くも膜下出血で倒れた。幸い軽症で済んだようだが、今もリハビリ中で仕事復帰は望めないようだ。
震災のことは一切関係ないのだけれど、今日は思うことがあって母に電話をした。
もちろん、母と兄の健康面も気にかかるところだが、もっと気になるのは、猫のことだ。
元々ここの家には、オス猫が1匹いた。そこに兄がメス猫を連れてきたことで、一気に繁殖してしまったのだった。
今日聞いたときは11匹。何匹か里子に出したはずだったから、本当はもっといたはずだ。
そして何より問題なのが、避妊手術をしていないということ。このままでは、また増えていくばかりで手に負えない。
先日の記事で紹介した、わたしがブランディングに関わらせていただいた『もりねこ』さんは、保護猫活動に尽力しているNPO法人だ。
岩手県内の多頭飼育崩壊の現場にも足を踏み入れ、保護する活動もおこなっている。
保護猫を飼育している身として、もりねこさんの活動に賛同し協力している身として、これ以上肉親の問題を無視してはならないな、と思ったのだ。
年老いた母と、病院で身体的障がいを抱えた兄と、無法地帯な状態の猫たち。この先に待ち受ける未来は、たやすく想像できる。
車の運転ができない上に、近くに動物病院もない。隣の宮古市まで行けば、一軒あるようだ。
今日の話では、オスは2匹。まずはこの子たちを早めにどうにかしなくては。
母は、もうちょっと待ってほしいと言う。人間は待てるけれど、動物は待ってくれないのだ。
そして更に付け加えると、母と兄は昔から片付けられない人だ。家の中は恐らく、、いや想像するのはやめておこう。
実はわたし自身、数年前に母が倒れて以来、あの家には近づいていないのだ。
ずっと見て見ぬ振りをしてきた、実家のこと。わたしが暮らした家でもないし、兄とは絶縁しているのだけれど、ここにきて急に、向き合わなければと思わされた。
恐らく母は、人生そう長くもないだろう。
震災の日、津波に襲われかけながらも命からがら逃げてきて、ギリギリのところで助かった命だ。残りの人生、少しでも気持ちよく生きてもらいたい。
今年は、肉親と向き合う年になるのかもしれないなぁ。
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