観てきた!特別展「きもの KIMONO」&応援したい「冬木小袖修理プロジェクト」at 東京国立博物館
めくるめく夢のような空間、本当に楽しかったです。
この先こんな超豪華ラインナップのお着物が、国立博物館に大集合して展示されることなんて、もうないかもしれない。そんな風に思った、とても貴重な展覧会でした。
場所:東京国立博物館 平成館(東京・上野)
会期:2020年6月30日(火)~8月23日(日)
料金:一般1,700円、大学生1,200円、高校生900円
◎観に行こうと思ったきっかけ
ただただ、お着物が好きなので、今はもう作ることができないような、昔の素晴らしいお着物をたくさんたくさん観たかった!しかも実物を間近で!!!というそれだけです。
正直、この7~8月は本当に予定が詰まっていたので、行きたいけれど、うーん・・・と、チケット予約にだいぶ躊躇していました。
が、出品リストをながめていたら、これやっぱり観に行かないとダメだ!!!と、出かける4日前くらいに予約し、すべりこんでまいりました。
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◎どんな展覧会?
当初は4~6月開催でしたが、臨時休館・・・。会期を変更しての開催が発表されたときは本当に嬉しかったです!
一言で言えば、お着物にまつわる日本文化800年分を、ぐるっとまるっと楽しめる展覧会です。展示される作品数もすごいですよ、前後期合わせて、なんと294!!!尋常じゃない質と量です・・・。
しかもこのトーハクで染織に関する展覧会が行われるのは、なんと47年ぶり!
いかに貴重な機会であるか、が伝わってきますよね。
それもそのはず、2020年夏に行われる予定だった世界的スポーツイベントに合わせて、数年前からものすごい力を入れて企画・準備されていたのでしょう。世界最大のお着物コレクションを有するトーハクだからこそできた、とも言える充実ぶり。本当に圧巻の展示構成でした。
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展示室内は基本的に時系列に沿っていて、ざっくりわかりやすく分類されて並んでいました。
・元々はインナーだった(!)鎌倉・室町時代
・染や刺繍などで豪華に装飾して表着になった戦国時代
・豪華絢爛・贅を尽くしたものから庶民が楽しむ日常着までバラエティー豊かな江戸時代
・型友禅や銘仙などの新技術とともにモダンなデザインがたくさん生まれた明治・大正時代
・きものが普段着ではなくなった戦後、そして現代
お着物の展覧会だからといって、単にお着物や帯をずらっと並べて解説しているのではありません。
● 着物のそもそもの構造や、「小袖」「単衣」「帷子」「友禅染」「銘仙」といった用語解説など、お着物の基礎知識が丁寧に書かれた解説パネル
● 装いに欠かせない帯留やかんざしなどの小物の展示や解説
● 当時の人々の着こなしが伝わってくる浮世絵
● 著名な作家が手掛けた広告宣伝ポスター用の原画
● 着物姿が印象的な日本画や洋画
などなど、幅広い関連展示が上手に盛り込まれていて、初心者から着倒しているプロの皆さままで、本当に見ごたえがあったと思います。トーハクが誇る超有名作品・菱川師宣の《見返り美人図》も何気なく並んでましたよ。
※トーハクの公式サイトから画像をお借りしました。
また、
● 江戸時代に流行した”いき”の解説
● 表は無地の藍染で、裏地にばっと絵を描きこんだ火消し半纏
● ちらっと見える八掛や下着の柄で遊ぶ文化
などなど、人々がどうやって日々の装いを楽しんできたかが伝わってきます。いいなぁ、楽しそうだなぁなんて、展示を見ながら思わずつぶやいてしまいました。
ちなみに、戦国時代や江戸時代のエリアでは男性のお着物や羽織、印籠などの小物類も紹介されていますが、ほぼ9割は女性にまつわる展示でした。
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◎naomin_0506的 お着物の魅力とは?
ぱっと着られて、すぐ脱いで洗濯できて、お手入れ簡単!という手軽さは、正直、洋服にはかないません。
でも、見るだけで幸せ気分、着るだけで気分が上がる、着てお出かけすれば周りに喜ばれてさらに自分も嬉しい!という感じは、お着物を着るって楽しい!の一言に尽きるかもしれません。
わたしは元々、骨董品などの古いものやアンティークが好きで、子どもの頃から浴衣や着物を着ることも好きでした。
だから、大正や昭和の時代の”アンティーク着物”にたどり着くのも自然の流れで、服飾の専門学校の卒業式では、西荻窪で出会った昔のお着物を、なんとか自分で着つけて出席しました。良い思い出ですし、今もそのお着物を大切にしています。
数年前から茶道を習い始めて、再びお着物が身近になってきました。
色無地のお着物が中心ですが、無地だからこそ、帯でいかようにも雰囲気が変えられるところが楽しくて魅力的です。
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今からお着物を楽しみたい、という方、ぜひ!おすすめします!!!今は本当にかんたんに始めやすい時代です。
わたし自身、手持ちの帯やお着物、実はまだ新品で買ったことがありません。古いもの好きということもあって、祖母やお着物好きの先輩方が大切に着ていた古いものばかりです。
でも、ため息が止まらないほど上質なお品物を、びっくりするような価格で譲っていただける機会が多々あるんですよ。ユーズド着物のお店も本当に増えました。着付けの技も、今はYoutubeやオンライン講座で学べますしね。
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◎時代をときめく名クリエイター・尾形光琳の「冬木小袖」プロジェクト
今回の展示で、特に注目されたお着物の一つが、尾形光琳が直接、お着物に秋草を描いたという《小袖 白綾地秋草模様(こそで しろあやじあきくさもよう)》。重要文化財に指定されています。
ちなみに、尾形光琳(おがた こうりん)?誰? という方も、こちらの《風神雷神図屏風》はどこかでご覧になったことありませんか?これを描いた江戸時代の方です。この屏風、トーハクにあります。
あと、漆や蒔絵、螺鈿でキラキラツヤツヤの収納BOXも、光琳さん作です。
こちらもトーハクにあります。そして、国宝です。
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さてさて、このお着物にまつわるストーリーを。
京都で活動していた光琳が、江戸にやってきてしばらくお世話になっていたという、深川の材木商・冬木家で、その奥方様のために、生地に直接、絵を描いたんです。通称「冬木小袖(ふゆきこそで)」と呼ばれています。
この展覧会の広報大使・IKKOさんが音声ガイドでお話しされてましたが、お着物は身にまとえる絵画。まさに「冬木小袖」は超一流の絵画でした。京都の呉服商・雁金屋に生まれた光琳ならではの、計算された美しいデザイン・・・。
当時、絵師に描いてもらうお着物が流行ったそうですが、大人気クリエイター・光琳が描いたってとても貴重だったと思います。その上、現代ではなんと光琳直筆・完全なかたちで遺っている唯一の小袖、ということで、とにかく超絶希少なお着物となっています・・・。
わたし、数日前に大学の芸術史の教科書で、ちょうど光琳とこの「冬木小袖」を学んでいたので、展示室でテンションが上がったのは言うまでもありません。
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ただ、いかんせん、江戸時代のお品物・・・相当傷んでしまっているため、この展覧会の終了後、約2年をかけて修理する「冬木小袖」プロジェクトが予定されています。詳しくはこちらをどうぞ。
お着物に限らず、美術館の作品は日々劣化していきます。この先、未来に伝え遺していくためには、適切にメンテナンスし続けることが大切。でも、時間とお金がかかるんですよね・・・・
今回のプロジェクトでも、なんと目標額1,500万円!で寄附を募っています。展覧会が行われている会期中は、平成館1階に、複製されたお着物とともに募金箱が。
本館1Fにも、募金箱と、かわいい折り紙!が設置されていましたよ。ぜひぜひお立ち寄りください!!!
また、国立文化財機構 寄附ポータルサイトからの寄附も可能です!
展示室で間近にした「冬木小袖」は、余白を活かし、色数を絞っていて、いま観ても本当に素敵でした。修理後のお披露目が楽しみです。
ちなみに”光琳デザイン”は、”ひながた本”と呼ばれるデザインサンプル本にまとめられて、光琳が亡くなった後の時代に大流行していきます。
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◎京博でひとめぼれした、あのお着物と再会!!!
個人的にぐぐっとテンションが上がったお着物がもう一つ。
京都国立博物館に収蔵されている《萌葱塩瀬地百鳥文様友禅染打掛(もえぎしおせじももどりもんようゆうぜんぞめうちかけ)》が、なんと展示されてるではないですか!!!
まさか実物を鑑賞できるなんて・・・と、ちょっと泣きそうになりました。
※京博の館蔵品データベースから画像をお借りしました。
”塩瀬”という生地に、鳥好きにはたまらない、精緻でカラフルな”鳥・大集合!”の百鳥図が友禅染で描かれた、とても艶やかでおめでたい打掛。
大阪の豪商の娘の婚礼衣裳として誂えられた友禅染の打掛である。大きく羽をひろげた鳳凰を中心に、孔雀・鳩・鶏・鶉など九十九羽の鳥が描かれ、さらに裏地の背に、日の出と丹頂鶴を置いて「百鳥図」が構成されている。
若くして円山・四条派を学び、明治初期に京都画壇の中心として活躍した幸野楳嶺(一八四四~九五)の下絵によると伝えられる。
わたしがなぜこのお着物を知っているかというと、京都国立博物館のミュージアムショップでひとめぼれしたんです、このお着物の一筆箋に。
京博を訪れた時「名品ギャラリー」は休館中で入れなかったのですが、まさかまさかこのお着物が東京に出張してくれていたとは。嬉しいサプライズでした。
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◎音声ガイド&グッズは?
音声ガイドは、レンタルされることをおすすめします!
お手持ちのコードタイプのイヤホンも使えますので、ぜひご持参ください。
会場内は、展示の一つひとつに、かなりしっかりと解説文がついていました。が、いかんせん展示数が多いし、事前予約制とはいえ、まぁまぁの混雑ぶり・・・。一つの展示だけでなくエリア全体の解説もしてくれたりと、音声ガイドがあったほうが、鑑賞がスムーズかもしれません。
また、IKKOさんのお着物愛あふれるトークもちょっとだけ楽しめますよ。
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グッズコーナーも賑わってましたー!
定番のポストカードにスイーツ、さまざまなお着物のデザインをモチーフにした手ぬぐいや、「冬木小袖」の風呂敷やスカーフ、ブックカバーなども素敵でした(売上は修理費用に充てられるそう)。
リラックマやブライスとのコラボアイテムなどなど、盛りだくさんでした。
もちろん、図録も本当におすすめです。オンラインショップでも購入可能ですよ。ものすごい情報量、これで3,000円はお安いと思います。お着物がお好きでしたら、ぜひ!!!一家に一冊レベルで、きっと永遠に楽しめます。
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◎まとめ
いよいよ今週末で会期終了!!!ということで、残念ながら、すでにオンラインでのチケット販売は、予定枚数終了となってしまっています。
当日券販売が毎日、若干数だけ行われているようです。Twitterで状況が更新されています。当日券を狙いたい方は、くれぐれも暑さ対策を万全にされた上で、ぜひ朝一からお出かけになることをおすすめします。
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また、トーハク公式Youtubeでは、展示替えされてしまった前期展示の会場を、たっぷり30分めぐる解説動画も視聴できます。ぜひ!!!
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さりげないけどはっきりわかる。
見る人・わかる人にはちゃんとわかる。
季節や縁起物、素敵なモチーフを上手に取り入れる。
大きな声では言わないけれど、細部にまできちんと目配り・心配りする美意識は、日本人の誰もがみな、脈々と受け継いでいるのかもしれません。でなければこんなにも多くの人が、現代もなお、お着物に心惹かれないと思います。
お着物って、すごい発明ですね。目の当たりにできて本当に、眼福でした。
企画・準備に携わった全ての方々に、心からの感謝を!!!
これからも末永く、手元にあるお着物たちを大切に着続けようと思います。
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