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こらっ!コナス!

コナスが生きているとき
何度こう言って彼を叱ったことだろう。

買い物に行き
帰ってきたら「勝負」。
宅配の段ボールが届いたら「勝負」だ。

カサカサ、ガサガサ、ビリビリ
なんて音を立てると必ず!!
コナスがダッシュしてくる。
「オカン何買ったん!見せて!
俺にも見せて!」

ビニール袋に顔を突っ込み
体ごと突っ込み
付いているセロテープを食べようとし
段ボールは食いちぎり
ガムテープも食いちぎる。
なんでもかんでも爪を立てて
掘り倒す。

それはそれは、楽しそうに。

猫砂の袋に入って
得意げ

私は
買ってきた肉や魚よりも
届いた日用品や猫砂よりも先に
まずとにかく急いで
とにかく大急ぎで
ビニールや箱を片付ける。

こっちを片付けていれば
あっちで食い散らかしが始まる。
忙しいなんてもんじゃない。
汗ダラダラになったりする。

「やめなさいコナス!」
「こらっ!あかんて!コナ!」
「アンタはなんでいつもそうなんや!」

娘に
「ちょっとコナスどかして!」と
頼んだことも何度もある。
抱っこされて連れ去られるたびに
彼は「ウギャーーー」と
発狂していた。

予め別の部屋に閉じ込めようもんなら
鳴きながらドアをカシカシし続け
肉球を擦りむいたことすらある。

その時は真剣に
「コナスめ・・」と思っていたけど
私はそんなコナスが可愛くて面白くて
仕方がなかった。

私のレッグウォーマーをかぶって
得意げ

今は買い物して帰ってきても
宅配の荷物が届いても
「タカラッ!タカラッ!タカラッ!」て足音は
聞こえない。
ゆっくりと
必要なものを片付けてから
ゴミを片付けるようになった。

ビニール袋をガサガサするたびに
コナスを思い出す。

いないんだなあ・・
やっぱり、いないんだ??
コナスは絶対死なないって思ってたし
ずっと一緒にいるもんだと思ってた。
そんな事ありえないんだけど
なんかそう思ってた。

いないことを
実感するのは
こういう、ちょっとしたとき。

どんだけイタズラしてもいいから
帰ってこーい





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