CKDG4患者さんへの継続中腎排泄薬剤の減量提案のためトレーシングレポートを活用した症例

今回のテーマも腎臓になっちゃいました!
やっぱり、腎臓とは切っても切れない関係(愛してやまない)のようです。
当局は、門前が循環器(自称?)という事もあって、面処方も循環器や腎臓内科や代謝分泌系が多く、その他の科も循環器や腎臓内科通院中の患者さんが臨時で受診されてかかわるケースが多いんですよね。
ってなると、CKD患者さん(CKDG3b以降が多い)における他科処方の腎排泄薬剤や腎虚血リスクのある薬剤のチェック機会が多くなるわけです。
腎虚血リスクのある薬剤や腎排泄薬剤が他科より処方されているケース(お薬は門前でもらっていてお薬手帳で確認)では、トレーシングレポートで情報提供したり・・・
当局でそういった処方箋を受け付けた場合は、疑義で他薬に変更して頂いたり・・・ 次回に向けての変更で良いケースならトレーシングレポートで対応したり・・・ 緊急性のないものならトレーシングレポートの対応で良いわけですから。
って・・・ またまた前置きがなが~くてすみません。
今回の患者さんは、心筋梗塞の既往でもともととある大学病院に通院歴のある方。ステント留置2ヵ所、糖尿病でインスリン治療中、CKD、心不全・・・
なんだけど・・・遠くてめんどくさいって理由でお隣に転院されちゃってた。
私が関わったのは6年前からでその以前からお隣に通院。
そうです・・・お察しの通りお隣通院中に病状は悪化してしまい・・・
典型的なクリニカルイナーシャですから・・・
とにかく何もしない!がモットーのクリニックなので~ おとなりは!
だけど問題はそれだけではなく・・・ 
病状が進行してても自覚症状に乏しいって事!
心不全が悪化してたのにご本人の訴えがとくに無かったのだ。
だけど、ご主人は変化に気づいていらして・・・ 
なんか今までよりしんどそうだし、活動量が減っていてすぐ疲れるみたいで心配との相談をご主人から受けていた。
ご主人もお隣に糖尿病で通院されていたのだが、以前から転院を望んでいらした(奥様はめんどうだから転院しなくてもいいと思っていらした)から、このタイミングで転院してもらうべきと考え、お二人同時に糖尿専門クリニックに転院して頂いた。
その結果、奥様はすぐにもと通院されていた大学病院循環器科で精査すべきと判断され、その糖尿病専門クリニック医師からの紹介で受診する事になり、すぐに検査入院となった。
結局、過去すでにステント留置2ヵ所ありましたが、さらにステント留置個所は増えて・・・
ロータブレーターもする事になったのだけど、冠動脈が硬すぎて削れないとの事だった。
その原因の一つが家族性コレステロールだったみたいで~
レパーサ投与となり、その後冠動脈の硬さが少しずつ軽快しロータブレーターで削れるようになって~ 病状も軽快している。
その過程で心不全悪化となりCKDもそれに伴い悪化傾向ではあったのだが、糖尿専門医が診ている間のeGFRは40ml/min前後で推移。
となりでの糖尿治療はインスリン治療のみだったのだが、糖尿専門クリニック転院後は、BOT治療となりDPP4阻害薬が追加となった。
その後、インスリン投与量は減量。DPP4阻害薬の投与量は通常量。
大学病院循環器科転院後もDPP4阻害薬の投与量はそのままだった(インスリンは現在も糖尿専門クリニックで)
大学病院転院後も、eGFRは心不全悪化に伴い低下傾向ではあったが、なんとか30ml/min以上を維持できていた。そのためDPP4阻害薬の減量はせずにすんでいたのだけど・・・
その後も少しずつ心不全は悪化し利尿剤増量やSGLT2阻害薬を追加せざるおえない状態になり、さらにeGFR低下となり・・・ 30ml/min未満に至ってしまった。
が・・・その際も大学病院循環器科処方のDPP4阻害薬の減量はなく・・・
さぁ~ どうする⁈
すぐに慌てて減量すべきものなのか・・・
そのDPP4阻害薬が新規追加の場合は、疑義で投与量を減量してもらうべきと考えるが・・・
継続中の場合、その場で疑義も当然ありだが、実際の副作用として考えられるのは何なのか・・・ を考えると、低血糖リスクのはず。
実際に色々資料を探したら、平成25年7/17に出された報告書を見つけました!
「シタグリプチンリン酸水和物の血液透析又は腹膜透析を要する患者を含む重度腎機能障害のある患者への投与に関する調査について」を読むと~
副作用としての報告はSU剤併用での低血糖が多いようだった。
だとしたら、低血糖の際にインスリンを減量すれば良いのだし・・・
しかも、おそらく利尿剤増量にもよると思われるけどその時点でこの患者さんの血糖値は上昇傾向だったし。そんなこんなで・・・
あえて慌てず、次回受診までこのまま様子みても良いのではと考え、あえて減量の疑義はひかえた。ただ、さらなるeGFR低下を避けるために脱水からの腎虚血への配慮が重要となってくる。
水分摂取に注意してeGFRを維持できれば、腎排泄DPP4阻害薬の排泄遅延による低血糖などの副作用をさけれるだろうし・・・
でもって~
ここから本題ですが・・・ 検査結果(参考値)などを含みますので以下は有料とします。ごめんなさい。

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