![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879411/rectangle_large_type_2_8e9dab8cacbcb0e743bff6606d019c81.jpg?width=1200)
『涙が止まらなかったKYOTOGRAPHIE。』
KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2023。
テーマは《BORDER=境界線》です。
『あなたには自分のBORDERが見えているだろうか。
KYOTOGRAPHIE 2023では、そのBORDERを可視化してみたい。その境界線は、自分で作ったものか、他者によって作られたものか。それは超えるべきものか。もしかしたら、自分の「思い」によって変えられるかもしれない。2023年、KYOTOGRAPHIEで《BORDER=境界線》を巡る旅に出よう。』
《BORDER=境界線》をめぐる旅。
今回は京都市の有形文化財に指定される、
八竹庵に行ってみました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879429/picture_pc_667181e5b6f6756743020655d1e9fec4.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879437/picture_pc_f54661ecec88c5b80167ba7b75856b6f.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879436/picture_pc_16247b52a7962223546ad6dbe08ff234.png?width=1200)
大正15年、
室町随一の豪商「四代目 井上利助」が
当時、最先端の技工と流行を取り入れ、
贅の限りを尽くし完成させた京町家。
和と洋が折り重なるような設計に、
建築史における時代の断片が垣間見える
歴史的に貴重な町家建築です。
そこで…
軽く《BORDER=境界線》を超え没入した世界。
ただ茫然として、
流れる涙を止めることが出来ませんでした。
写真記者である松村和彦さんの
『心の糸』。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879443/picture_pc_53f77e3bca206e9dd1e183b86060929d.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879441/picture_pc_57491441fdf4060e3f70ebb966a32a40.png?width=1200)
「1997年元日
妻と私の心の糸が切れた日でした
呼びかけても何も応えてくれません
しばらくして私を「お父さん」と呼びます
配偶者としての夫でなくなりました」
淡々とした文章で
日々のことが描かれ
心象風景が映し出されて行く世界。
認知症を患う本人、家族、周囲の人々が
長期に渡って取材され…
一つ一つの出来事が
ただ事実として淡々と重ねられて行きます。
その乾燥した日々の積み重ねの中に…
文章としては書かれていない深い慟哭があり、
家族の想いに胸が詰まりました。
目の前にいる家族が
少しずつ
家族ではなくなって行く様子。
そして、それを見守る家族…
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879490/picture_pc_e96fb03af6ff2a715276efde5ec621a0.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879489/picture_pc_5f4ec810a616b5bf100b8fd5d74e3c2b.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879493/picture_pc_6ee92fb1f1c3290c1c07e6692aa8446b.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879487/picture_pc_e94681a6df492c1543c23ebe6ec5007b.png?width=1200)
いつも新聞のスクラップをしていた重夫さん。
ある日、
新聞記事を
うまく切り抜くことが出来なくなりました。
それから数日後、
行方不明になった重夫さん。
暮らしていた街の竹藪で
遺体となって発見されました。
そこは、
重夫さんと奥さんが
初めて新居を持った家の近くだったそうです。
どんな想いで、そこに行ったのか。
そこで誰を待っていたのか。
遺体が発見された時の家族の想いは…
46歳で
若年性アルツハイマーと診断された下坂さん。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879511/picture_pc_e3ecc4d258209bfcff43945f4589eeb8.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879504/picture_pc_cdef8c2108ac8c4eb3b44547afd9ec14.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103879512/picture_pc_5b4c9d9403ba4c9306e9fc99e0efe690.png?width=1200)
ネットで調べても恐ろしいことしか出て来ません。
でも…
「“認知症になったら終わり”と言う考えは
間違っていた。
世界は白黒ではなく、光と色に満ちていた。」
《BORDER=境界線》を超え
目の当たりにした世界。
胸に迫って来る、
その衝撃を咀嚼しながら会場を出ます。
町家の玄関で
初夏の萌えるような鮮やかな緑が
目に飛び込んで来ました。
でも…
そこにある日常は、
今までと同じようで、少し違って見えました。