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KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2023年リサーチ日記 2
10月20日(金)
昨日とはうって変わって今にも雨がふりそうな曇り空。昼から雨風が強くなるとの予報だったので、田久日(たくひ)再訪は諦めて、その手前の停留所でまだ集落を歩いたことのなかった宇日(うひ)まで行くことに。
8.59am竹野浜発のコミュニティバスEnacar(イナカー)に乗車。他に乗客はなし。運転手さんに料金を聞くと「いくらだったかなぁ〜。あんまり人が乗らんで忘れてしもうた。」との返答!
「あ、料金表ここに貼ってあります。」「あー、それ見てください。」「200円みたいです。」「あぁそんなもんやったわ。」
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入り組んだ海岸線を望む、くねくね山道を走って宇日到着。宇日にはバス停の標識はありません。なんとなくグレイの空が似合うような宇日の集落。広くはない入り江に船屋が並び、岸には大小の丸っこい石たち。入り江西側には平らな岩場が広がります。以前はその岩の上でワカメを干しており、岩の滋養が染み込んだ宇日のワカメは絶品と一目置かれていたそうな。その辺りの岩の小山上には弁天様と石灯籠。弁天様の新しそうな鳥居はビニールパイプ製。バーコードは剥がしておいて欲しかったなぁ。お賽銭箱はオレンジ色の丸ブイに一文字の穴を開けた物。
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集落内に地図には載っていない神社が。祠にお祀りされている神様は確認できませんでしたが、横に恵比寿さまの像。敷地内奥には銅板に「宇日集会施設」とある建物があるので、おそらく竹野町史に記されていた漁師さんが中心となって組織されている恵比寿講の集まり場所でしょう。
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*竹野町史 民俗文化財 資料 編 _ 第六章 信仰集団 第二節 宗教講(3)民俗講より
宇日では漁師が中心となって組織される恵比寿講が三組ある。昭和五十三年から三グループが正月三日に会館に集まり、三つの掛け軸を掛け、御神体を祀り、御神酒をいただく。海上安全と豊漁を祈願するそれ以前は各講が籤(くじ)で講宿を決めて恵比寿講を行っていた。講箱には「天保十四年夘正月吉日 講中」とあり、講の成立が近世後期まで遡ることを記している。また講箱の裏には「恵比寿大神 昭和九年旧一月九日 長岡長四郎寄贈」とある。講の御神体は恵比寿・大黒の二体で、掛け軸は次の三点が講で所蔵されている。
1西宮大明神 2「天下泰平 五穀成就 蛭子太神宮 漁業繁盛 家内安全」3恵比寿大神 金比羅大神
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集落の奥へ。綺麗に縁が岩組みしてある棚田はずいぶん前に耕作をやめてしまったそう。横を流れる清流には鮎。山に差し掛かるぐらいまで歩いて引き返す。途中で下から上がってくる人に「このあたりにかなり太い杉の木か桐の木かがあると聞いたんやけど、どのへんですかねぇ。」と聞かれました。もちろんまったくわからないけど、そんなふうに木を求めて廻る人もいるのですね。しかし人気のないところで熊に出会うのはこわいけど、人に会うのもちょっと怖い。
最後に少し高台にある三宝荒神社に参拝。拝殿の飾り彫は白蛇でした。
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竹野浜に戻り、風を避けられる焼き杉板の家並みの路地へ。縁側でお野菜やお花を販売しているお家に出会いました。ご親戚からのお野菜やご自分でつくっているものを毎週金曜日の朝8時から売ってますとのこと。お手製花梨ジャムと新生姜の砂糖漬けをお味見させてもらう。生姜の砂糖漬けはコーヒーに入れたりしても美味しそう。ちょっとこだわりのレシピがあるそうで、作り方を教えてもらう。自分でもつくるべしと、美しい新生姜を買い求めました。
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昨年はお昼時の営業にまったく遭遇できなくてものすごく残念だったお魚食事処の「おっとっと」さんを一応チェック。なんと開店してましたー。これは入らねば、で、日替わり定食アジフライ ¥660をいただく。
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「なごみてぇ」さんを覗くと今日は銀杏入り炊き込みご飯!本日当番の花房さん奥さまが、先客に挽いたコーヒーが一杯分残ってるから飲んでいかなぁい?とお呼ばれに。漁師さんであるもうお一人の当番の方と三人でお話しタイム。獣害の話になり、以前聞いたピンク色のテープは鹿よけになるというけど本当かとか、ハクビシンはフルーツ好きだとか、モグラが掘った道をノネズミが通って根菜類を食べるとか、畑にある棒に空缶を刺したものは、風で缶が回った振動が地下に伝わることでモグラよけになるのだとか、あれこれ聞く。タヌキとアライグマとハクビシンとの違いの話から、花房さんがヌエは顔が長いと言うので、「え、ヌエって想像上の化物みたいなのと思ってたけど、実在するんですか?」と問うと、「そうそう、化物みたいなねぇ。」と言いつつ町内のどこそこのちょっと深い溝に住み着いてるとのこと。それは一体どういう..再確認せねばです。
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