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  • 太田奈緖美/タケノ時空間散歩『この家で』

    • 26本

    美術作家の太田奈緖美が、かつて竹野町で発行されていた文集『万年青(おもと)』を手がかりに地域を訪ね歩き、人々の言葉や記憶、風景を拾い集めて物語を紡ぐプロジェクト。2022年度に試作した物語から、語りによるパフォーマンスを創作。2024年度の完成を目指す。 photo by bozzo

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KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記5

11月12日 本日は今回滞在での心残り消化の最後、甌穴(おうけつ:ポットホール)群を見に、猫崎半島西海岸の岩場を歩きました。ポットホールとは波によって岩盤の窪みで石がクルクルと回り続けた長~い時がつくった深い穴です。波食棚や地層もダイナミックで見所満載でした。波が高いとちょっと怖いような箇所もあったので、居合わせた豊岡からジオパーク学習に来ていた小学生団体に着いて歩き、ついでにガイドさんの解説も聞いちゃいました。 その他、手作り同好会チクチククラブの展示にあった、絣着物リ

    • KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記4

      11月11日 長年にわたり竹野の小学校の先生として、多くのみなさまの記憶に強く残っている中山昭子先生(御歳96才)。文集『万年青』に掲載のとっても素敵な文章や挿絵で出会い、昭子先生の投稿文からパフォーマンスのテキストに引用させてもらったりもし、深く印象に残る人物でありました。『万年青』にある挿絵をカルタの絵札に使用する御了承をいただきたいとの思いもあり、9月ごろから現在高齢者住宅にいらっしゃる先生とお手紙のやりとりをしていました。お会いしに行ってもいいですかと尋ねた折の、き

      • KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記3

        11月7、8日 13日からのKIAC滞在は、主にアーカイブのための文章仕上げと編集作業となるため、7日より竹野浜のひととまるさんに宿泊することにしました。到着日の午後には青山さん、田村さんにカルタ札の解説などの確認をしていただきました。   8日はレンタサイクルで、これもまた心残りだった林地区の色来神社へ。 出発直後に畑で作業中の舩野さん(長年お世話になってます)を見かけて「おはようございます!」と声をかけました。「おぉ、来とるんかい。ちょっと寄ってくか?」と言ってください

        • KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記2

          10月6日 竹野町椒(はじかみ)地区にある㯮椒(ほそき)神社には、平安時代の木彫りの彩色狛犬一対がおられると文献で知り、昨年のリサーチ時に訪れたのですが、拝殿の扉が閉まっていてお会いできず、竹野での心残りのひとつとなっていました。後日管理しておられる豊岡の小田井縣神社の稲垣宮司とお電話でお話ししたところ、秋の例祭は拝殿を開けて、地元の方々も集まるとお伺いし、これは是非行かねばと思っていました。 車を運転しない私が自力で行くとすると、豊岡駅から非常に本数の限られたバスで森本

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記1

          写真上:©️Bozzo 2024年2月タケノ時空間散歩『この家で』語りならべ パフォーマンス 会場:奥城崎シーサイドホテル 千石船の間  出演:岸本昌也 4月から11月までのこと 2023年度の成果発表は、3編のお話を語る上記のパフォーマンスを上演。 KIACコミュニティプログラム最終年である2024年は、まとめの年としてKIACウェブサイトにアーカイブを作成するということになりました。 これまでの数年の経緯をアーカイブとして掲載することは、活動の記録としても、今後竹野を

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2024年リサーチ日記1

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 6

          前回7月のリサーチ後は、インタビューの書き起こしや収集した資料の整理、そして韓国の劇団ノットルとのプロジェクトで9月はじめから渡航するため、コロナ禍故に必要であったビザ申請やPCR検査などで何かと忙しく過ごしていました。 ノットルとは環境問題に関する展覧会・パフォーマンス形式のプロジェクトを行い、また、3部作ディアスポラシリーズの1作目である1948年の済州島四・三事件によってに故郷を離れざるを得なかった人々がテーマの作品にも参加することとなり、済州島へのリサーチ同行で滞在

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 6

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 7

          11月27日(日) 轟(とどろき)地区にある中竹野コミュニティ主催の松永正博さんと太田修さんのご案内による「蓮華寺紅葉狩り」に参加。先日奥須井ですれ違った漁師さんの車は、松永さんだったと判明しました。 蓮華寺に向かう前に少し集落を歩き、野菜やお茶碗を洗う用途で生活用水路に青井石を敷いて作られた「川イト」や、残念ながら火事で7、8年前に焼けてしまい立派な門と庭だけが残る大庄屋だったお屋敷の見学に。松永さんがどこからか捕まえてきた赤腹イモリの赤ちゃんを手のひらに載せて見せても

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 7

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 8

          11月28日(月) 今回の滞在は連日出かけるのではなく、ミーティングや図書館で借りた文献を読んだり、資料整理などの日も設定していました。昨日午後は與田さんがOffだったので、蓮華寺の振返りと吉田さんを交えての来年度以降のためのミーティング。年明け2月の報告会に向けては、以前のパフォーマンスのベニューでもあった田中邸にて、「万年青」とインタビューから構成したいくつかのお話を参加者とともに読む、「みんなでお座敷リーディング」を企画する方向となりました。 11月29日(火)

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 8

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 9

          12月1日(木) 竹野南地区のコミュニティ・カフェ「よつば喫茶」へ。隣接の朝市では、地元の方々とおしゃべりしながら新鮮地域野菜や手作りのカゴなどを購入。(上写真) 「このカゴ、豆の収穫とかにすっごい便利。ぐやーがえぇ。」 「 ぐやーがえぇ??」 「具合がいいと書いて、ぐやーがえぇ。」  なるほど..。 よつば喫茶では手作りケーキ付きのコーヒーセット(¥200!)をいただき、お話の輪に寄せてもらって、山でのチャンバラごっこ、学校の廊下でビー玉当てなどの遊びの話、変装盆踊りの

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 9

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 10

          12月7日(水) 蓮華寺紅葉狩りの案内もしてくださった松永さんにお願いして、三原地区を歩く。本日はリサーチチームに加えて志賀館長とご家族(お母さまと旦那さま:舞踏家の岩下徹さん)も参加です。 史実や言伝え、道すがらの植物についてや、現在の獣害問題(山では罠にかかっていた鹿に遭遇)、果てはマル秘の裏話まで混えたお話を聞きながら、数々の逸話が残る崑山和尚のお墓、神社、竹野川源流にある'タタラ’(製鉄)跡、両墓制(遺体の埋葬地と墓参のための地を分ける墓制)であった頃の埋葬墓地(ダ

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 1

          KIACコミュニティプログラムとは 滞在 アーティストをはじめとするプロジェクトメンバーが豊岡のさまざまな文化や自然をリサーチし、人々との交流を通して創作を行う3年継続のKIAC(城崎国際アートセンター)のプログラム。 * 2024年の最終年を迎えるにあたって、一年目 (2022年)のリサーチを振り返って記したものです。 2022年コミュニティプログラム開始までのこと。 万年青との出会い 「万年青」とは、1977年から市町村合併で豊岡市となる までの28年間にわ

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 2

          2022年7月14日 これまで竹野で宿泊したことがなく、夜の浜や路地を体験してみたい気持ちもあり、KIAC入りの前に浜地区で3泊することにしました。前回のパフォーマンス会場としてお世話になった「本と寝床ひととまる」さんにチェックイン。漁港の昼市をねらっていたのに、すでに完売で残念。買い出しに歩くと見知りの方々と遭遇。ロジナリエ(流木と和紙でつくった灯りを町内に灯す2010年から続いているイベント)のために軽トラで各所に配布中だそう。 小さいカニたち(通称マッカさん)が出没

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 3

          7月16日 川向こうの西町にある民宿大栄さん(與田さんのご親戚)に宿泊するので、そろそろ移動しようとしていたら、宿の博美さんがわざわざ車で迎えに来てくれた上に、行ったことのなかった今坂峠から切浜までのドライブまでしてくださいました。 川を挟んだだけなのに、漁師小屋も並ぶ西町はぐっと漁師町の雰囲気が強まります。夕食は與田さん、サウンド担当の山崎さんとともに、大栄さんのお料理を満喫しました。その時に万年青を読んで気になっていたものの、どう検索してもわからなかった地名「おばあの

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 4

          7月18日 以前車での移動販売をしていた太田吉男さんを訪ねて、竹野南地区の二連原(にれんばら)へ。吉男さんからアドバイスを受けつつ、これから移動スーパーをしようと準備中の谷川いづみさん(地域協力隊として竹野に移住)と待ち合わせて、吉男さんの畑に行きました。ナスやきゅうりをどっさりいただいた後、集会所に移動してお話を聞きました。 移動販売の車から「おさるのかごや」の音楽を流して、竹野南の各地を回っていた当時のことや、そこに至る経緯や仕入れ先のことなどとともに、二連原に暮らし

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2022年リサーチ日記 5

          7月19日 KIAC閉館日。インタビュー音源の文字起こしなどをする。 7月20日 木地師の加悦忠雄さんの工房で木地挽き体験をさせていただきに、竹野南地区の三原へ。夏は草刈りなどで忙しいので、木地の仕事は主に冬季間に行うそうです。本日の木地は柔らかい桐板。回転する旋盤に固定した木地に鉋(かんな)を当てる力加減が難しい。忠雄さんのお手本動作は腰の入れ方が違います。手を動かすというより腰で角度をとっている感じです。何事も体幹が肝心。仕上げ段階はかなり師匠に手を入れてもらった小

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          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2023年リサーチ日記 11

          11月3日 この2日間はKIAC内外でのミーティングやベニュー候補を拝見しに行ったりもしていました。 本日はリサーチ最終日。夏日のような晴天のもと、浜地区の子供神輿によるお祭りに出かけました。5つの町それぞれの神社での神事の後、各町内を練り歩き、踊りを披露し、各戸は子供会の資金となるお包みを渡す秋祭りです。今どこを神輿が通っているかは、人だかりと音頼り。まず馬場町で、ちょうど「竹野小唄」の踊りの場に出会わしました。「ひととまる」さんご家族も輪の中に。お子様たちはまだ見習いの

          KIACコミュニティプログラム_タケノ時空間散歩『この家で』2023年リサーチ日記 11