なります
ファミレス語と言われる言葉がある。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「ハンバーグでお待ちのお客様」
「こちらお水になります」
今、注文を確認しているのに、「よろしかった」と過去形にする必要があるだろうか。
「で」は英語で言うと「at」だから、ハンバーグという場所で待っているお客様になってしまう。
そして、特に気になるのが「お水になります」。
「なる」は、成る、転じる、変わるという意味の言葉だから、これだと今はお水ではなく、これからお水になると言っていることになる。
「なります」の間違った使い方は、ここ数年至る所で聞かれるようになった。
「こちらが新商品になります」
「こちらのブラウスは、この秋の新作になっています」
「エレベーターはあちらになります」
どれも、
「こちらが新商品です」
「このブラウスは秋の新作です」
「エレベーターはあちらです」
でいいはずだ。
「〜です」は言い切る表現で、言い方によっては強く聞こえてしまうこともある。
「なります」を使うことで、言い切ること、断定することを無意識に避けているのかもしれない。
つい最近、とある自動車のテレビCMで、
「発売前の車両になります。」
と表示されているのを見た。
間違った使い方だし、私はどうしても違和感を感じるが、テレビCMでも使われているとなると、これはもう、成る、転じる、変わるという意味以外でも使うのが普通になったということなのだろう。
やはり、言葉は生き物、時代によって変化していく。
その変化の過程に生きていることは貴重であり、楽しくもある。