不妊治療記録🍼 : 2 (はじめての採卵)
深夜24時の自己注射と、眠さと戦いながら鼻の中にシュッと点鼻薬を放つ自分、やってるね〜不妊治療って客観的に思った。相方さん(旦那さんとか夫とか言うのが、なんかこしょばくて苦手なんです。ごめんなさい)が、心配そうに見ているのが可愛かった。注射が痛くなさすぎて、わたしの腹周りのお肉はどんだけ脂肪がついてるんだろう、と少し心配になった。
初めての採卵
培養室を通り過ぎて着いた採卵するオペゾーン。15くらいある部屋は全て埋まっていた。手術着に着替えて、ペットで待つ時間、およそ30分。カーテン越しに終わった人と今から取りに行く人が交互に見える。みんな元気に返事していてホッとした。緊張していたのか、取る前に測った心拍は90。緊張していないふりをしてたのは頭だけで、心はばくばくだった。緊張するということは生きてるということだよ、と言い聞かせて、持ってきた本を読んで気持ちを落ち着かせた。
わたしが初めての採卵なのは、手術着の着方からわかったみたいで、手直しが2回入った。『初めてですもんね!着づらいですよね』って言ってくれたけど、内側にある紐が見えなくて、見えてた紐で謎の蝶々結びを胸元で堂々としてた自分がとても恥ずかしかった。大人何年目だよ!とつっこみを入れた。
呼ばれてオペ室に入ったら、ドラマでみる本物のオペ室でおじけついた。頭上に6つくらいまとまってる丸いライト、先生たちはみんな緑の手術着をしてゴム手袋をしていた。子宮に力がぐっと入ったのが分かった。前の方が小柄な方だったみたいで、台がまったく体にフィットせず、前です〜、あっもう少し上、行き過ぎです〜ふふ、なんて生まれてたての姿でジャストフィットする場所を探した。こんな感じで出産するのかな。なんて想像を膨らます余裕があった。
麻酔なし、先生の腕を信じるしかなかった。初めてだから力が入りまくりで、手こずらせてしまった。少しお腹に違和感あったけど、いたすぎるなんてことは全くなかった。たまごが3つ。あ、わたしの中にちゃんとたまごがあったんだ。その喜びと安堵感。数は年齢からしたらかなり少ないけど、わたしのものには変わらない。モニターで確認できたとき、安心して泣きそうになった。
翌日、培養室から3つのたまごが無事に受精卵になりましたよ!の通知が届いた。わたしと相方さんの受精卵が育っていく様子をこれから見守っていけるなんて、不妊治療は辛いことが多いけど、ひとつひとつの妊娠の過程を実感できることが、自然に妊娠できることの奇跡を、ひとつひとつ確認できることが、治療している人のメリットだと思ったら、これからの治療がほんの少し楽しみになった。
子どもの名前を月(つき)と、結婚してすぐに2人で決めていた。中秋の名月の9月17日に、わたしたちのたまごが、ひとつの命になろうとしていることにどこか運命を勝手に感じてる。大きくなあれ!
終わったあとのご褒美ランチは、AFURIの柚子つけ麺と炙りチャーシュー丼のセット。行列に並んでひとりでセットを頬張る。となりの綺麗なおねいさんにひとりラーメン素敵ですねと、言葉通りに素直に受け取った。ひとりラーメンできる人間でよかったと思った。
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