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上田の風に。
上田市立美術館で、巨匠たちの10代という、
有名な画家たちの、子供のころの作品展を開いている。
モネにロートレック、ディッフェに
ピカソなど、海外のかたの作品が31点。
高村光太郎に岸田劉生、伊東深水に平山郁夫など、
日本のかたの作品が75点。
渡辺えりや松岡修造、鉄拳など、
テレビでおなじみのかたの作品もあって、
ユニークな企画展と眺めた。
長野駅の地下の連絡通路に、
地元の子供たちの絵が飾ってある。
眺めながら歩いていると、ときどき、おっと見入ってしまう
作品がある。構図、色使いが見事で、
そんな絵を描く子は、将来有望な、
画家の玉子かもしれない。
一緒に、美術館所蔵の版画展も開いていて、
ふたたび、村上早の作品にお目にかかれた。
3年まえにこのかたの銅版画の数々を観て以来、
好きになったのだった。
ぜひまた、おおきな作品展を開いて
もらいたいことだった。
美術館を出て、千曲川の堤防道路を歩いていけば、
さっぱりとした風が、輝く川面をすぎていく。
別所線の赤い鉄橋を、2両電車がごとごとと
渡って行く。
清掃工場の煙突から青天に、のんびりと煙が
上がっていた。
冬すぎて,
柔らかな春の風に、気持ちも
ほっとするのだった。
ときどき、
しょっちゅう上田に出かけてますが、
彼女でもいるんですかと聞かれることがある。
その昔、上田に暮らすかたと付き合っていた。
それまで縁のなかった町にうかがうようになり、
ちいさな城下町の和やかな風情に魅入られた。
知り合わなければ、上田の魅力も
気づかずじまいだったから、
ありがたいことだった。
桜のきれいな城跡公園が在り、
目を引く展覧会をする美術館が在り、
落ちついた昭和の景色が残り、
馴染みの蕎麦屋に飲み屋も出来て、来るたびに、
好い町と思いながら歩いている。
古い家屋のつづく道を抜け、矢出沢川をわたって
北国街道を行く。
上田高校第2グラウンドでは、サッカー部の
子供たちが、わいわいとボールを蹴っっていた。
城跡公園に行くと、梅の蕾が大きくなって、
そろそろ開花しますかね。
来月には桜も開くから、春の上田のひとときを、
今年も楽しみに待っているのだった。
春一番赤い鉄橋渡りおり。