新しい蕎麦屋へ。
ときどき上田の町に出かけている。
先日、いつものように長野から新幹線に乗って、
改札口を出たところ、駅の構内に新しく蕎麦屋が開店していた。
店の名は、「そば前 ちくまがわ」といい、入り口から中を
覗いたら、壁に長野の地酒の瓶がいくつか飾ってあった。
あいにくこの日は,すでに別の飲み屋に予約を入れてあったので、
次回の楽しみと決めた。
翌週さっそく再び,昼どきにおじゃまをした。
カウンターに落ちついて、サッポロの赤星で喉を潤しながら、
ゆっくりと品書きに目を通せば、上田の地酒が六種類すべて
載っている。そば前の肴も、天ぷらの盛り合わせに、
ポテトサラダやもつ煮込みやこんにゃくの田楽に板わさなどと
抜かりがない。
午前七時から十時までは冷凍の蕎麦を使って、かけ蕎麦や
天ぷら蕎麦など温かな蕎麦を提供し、
十一時から夜の十時までは、自価製粉の二八蕎麦を提供すると
いう。沓掛酒造の互と板わさを頼んだら、酒はコップになみなみと、
板わさはまるまる一本分で気前がいい。
お運びをしているお姉さんに尋ねたら、経営しているのは、
長野県のあちこちで蕎麦屋や寿司屋や飲み屋を展開している
大滝グループとのことだった。
互につづいて若林醸造のつきよしのを酌んで、せいろを頼んだら、
盛りの量が半端ない。品書きをよくよく見たら、せいろ並盛り
380グラム。小盛り200グラムとあって、小盛りでも量が多い
くらいだった。修行のような気分でなんとか平らげたのだった。
上田の町はふだん静かな佇まいで、あまり観光客の姿が目立たない。
何年か前に、大河ドラマの真田丸が放送されていたときは、平日でも
大型バスが連なって来ていたけれど、以降はまた静かな風情に戻った。
浅漬けと蕎麦湯をつまみに和田龍酒造の登水で締めていると、
日曜日ということもあってか、ひっきりなしに観光客が店に出入りを
している。へ~っ。上田ってこんなに人が来るんだと、あらためて
思った次第だった。
旅人にとっては、
わかりやすい場所に、新幹線の待ち時間の拠りどころが出来た
のは、好いことなのだった。
品書きに地酒六つや夏の雨。