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夏の養生で。

夏になると、お中元に日本酒を何本か頂く。
九州に暮らす知人から絵はがきが届いた。以前長野に
暮らしていたかたで、仕事の転勤で福岡へ移られたの
だった。
はがきには、このたび仕事を辞めて福岡を去ることに
なった。次の住処を探しながら九州の思い出作りを
している。その折りに、大好きな日本酒のお蔵さんを
訪ねたので、別便で送ると綴ってあった。
絵はがきの写真は熊本の大江教会で、長年の勤めを辞めて、
のびのび羽を伸ばしているとうかがえた。
日本酒に目のないかただから、福岡の旨い肴でさんざん旨い
酒を飲んだろうなと、ちょっとうらやましい。
後日四合瓶が二本届いた。熊本の花の香という銘柄で、
純米吟醸酒と、この時期の夏酒だった。
夜半からの土砂降りが止んだ午前、自宅の在る路地に
この夏初めて蝉の声が響いた。
夏の盛りを迎えて、おおいに楽しみたいのに、
七月になってから持病の坐骨神経痛の調子が
よろしくない。それに加えて、右足のふくらはぎを痛めた。
早朝、ノルディックウォーキングをしていたときに、
ぴきっと痛みが走ってずっと治らない。
おまけに両足の甲に擦り傷を作ってしまい、それも痛い。
夏になると外出の時に浴衣を着ていくことがある。
先日、浴衣に合わせようと新しい雪駄を買ったところ、
鼻緒がかたくてきつくて、我慢をして歩いていたら
鼻緒の当たっていた、甲の部分が擦りむけちゃったの
だった。
若い頃はちょっとした傷ならすぐに治ったのに、
歳を重ねると治りも遅い。風呂上がりに、毎日
オロナイン軟膏を塗ってバンドエイドを貼っている。
そんなわけで飲み屋詣での気分もそがれ、頂いた酒で
晩酌をする日が続いている。
馴染みの店のご主人がたには申し訳のないことだった。
夕方、名古屋場所を観ながらビールの栓を抜く。
最近はイキのいい若い力士も出てきて、迫力ある取り組みを
見せてくれる。そんな熱い場に、桟敷席の単衣や浴衣姿の
淑女のかたを見つけると、一風の涼を感じさせてくれ、
見惚れてしまうのだった。名古屋場所が終わったら、体の
不具合を気にせぬよう言い聞かせ、夏の酒を飲みに行きたい
ものだった。

藍浴衣土俵の前の淑女かな。





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