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句会ライブへ。

土曜日の午後、須坂市へ出かけた。
メセナホールで、俳人の夏井いつきさんの句会ライブが
有ったのだった。開演間近のホールに着くと、
600人満席の盛況ぶりで、夏井さんの人気の程がうかがえた。
年配のかたがたに混じって若い男女に、
子供たちの姿もちらほらと見られ、年齢に関係なく、
俳句に親しんでおられるかたが多い。
拍手の中、夏井さんと息子の正人さんが登場したら、この日は
夏井さんの誕生日。
熱心なファンの、誕生日おめでとうの垂れ幕が揺れる。
俳句についての夏井さんのざっくばらんな語り口に、
会場もしばしば笑いの渦に巻き込まれる。
いちばん前席の青い服の女性に問いかける。今日のお昼は
なにを食べた?
女性が、コメダ珈琲で玉子サンドを食べたというと、
ほら、コメダのランチで句ができると言って、
風薫るコメダのランチ美味しいぞ。と作例を示してくれた。
真似をして一句。
夏の空コメダのランチ食いそびれ。
っていうか、コメダ行ったことないんですけどね。
どこかの駅の写真がスクリーンに映し出され、この写真から
ひとり一句作りましょう。持ち時間は5分ですと、作句を
促された。5分で一句、きびしいぞ。
薫風や車窓の先の母子かな。
集められたみんなの句を、夏井さんと正人さんが、すばやい
目さばきで読んで入選作を選んだ。小学生に中学生に高校生の
句も選ばれて、
そのたびに会場から大きなどよめきと拍手が起きる。
子供の感性の豊かさに、ほれぼれ感心してしまった。
さらに選ばれた特選七句のそれぞれに、
観客からいろいろな感想が述べられる。
ひとつの句に、皆それぞれの想像があり、
五七五、17音の深さが伝わってきた。
七句から優勝句を。
優勝を決めるのはみなさんの拍手です。
いちばん良いと思った句に拍手を
してくださいと言う。
スクリーンに映し出された句を見れば、どれもじつに
好い。
大きな拍手をもらって優勝したのは、仙台の大学に通う
女の子だった。
花の雨改札向こう母がいた。
長野に帰省して過ごしたあと、再び
仙台に戻るとき、いつも母に新幹線の切符を買ってもらう。
改札口を抜けてエスカレーターに乗るときに振り返れば、
まだ母がそこにいて見送ってくれている。
お金をかけてもらったり、寂しい思いをさせたりで、
申しわけない思いを詠んだといい、聞いていたら涙が
出てしまった。隣に座っているお母さんも、娘の言葉に
涙ぐんでいた。
句を通じて、見知らぬかたがたとのひととき,
帰り道の小雨が爽やかなことだった。

句巡りの六百人や初夏の雨。




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