オランダ語クラスを受けて感じていること 〜私の第三言語習得日記〜
こんにちは!どんどん日が短くなり寒さも増しているオランダです。
年末年始に友達一家と予定していたドイツへの旅行も泣く泣くキャンセルして、このロックダウンの中大人しく国内に残るか〜。という感じです。
さて、self-study(本を購入して自習というかたち)で続けていたオランダ語ですが、遂に2ヶ月半のクラスを受講し、先日A1クラスの修了テストを終え、無事(?)修了することができました。笑
60%以下は再履修だったのですが、結果は91%でした!内心喜んでいたのも束の間、他の生徒2人が98%でへこみました。(比べるんやない!自分!)
私の第三言語にあたる「オランダ語」。
英語と似ているところがあるとはいえ、逆にそれが足枷になっていると感じることもありながら、日々奮闘しています。
さて、今日は「30代からの第三言語習得」について書きたいと思います。
self-studyの限界
私は元高校英語教諭なので、語学を習得するために必要な「名詞」や「助動詞」というような「品詞」についての理解はあります。また、「現在進行形」や「現在完了」というような文法用語やその概念についても理解しているつもりです。
しかし、英語にそれがあるからといって、他の言語に必ずしも同じ概念やルールがあるとは限りません。私が英語で理解しているものが、オランダ語に「ある」のか「ない」のか。ある場合は、それが英語と同じことを意味するのか、ない場合はそれに代わるものはあるのか…など、大人になってしまった以上、言語の習得方法は基本的に低年齢の子どもとは異なるため、ルールを頭で理解して落とし込んでいくことになります。
self-studyではそういった質問を言語の専門家なしに学ぶため、私としては消化不良を起こすことが多くありました。そこで、ある程度self-studyを進めた後、正式にクラスを受講することにしました。
オランダ語の文法をオランダ語で学ぶ
私が受けたオランダ語の学校は「厳しい」と定評でした。笑
でも、あえてその語学学校選び「自分で選んだ道」をきちんと続けたいと思いました。
授業は基本的に「文法」を中心に進められます。語学学校が独自に作ったテキストブックに則って、簡単な文法から進められます。どうしてもわからない時は英語で質問をすることが許され、講師も英語で説明してくれますが、基本的には「現在形」や「不規則動詞」などの文法用語も全てオランダ語で説明されます。
最後の授業の時、
「文法の説明なしに、会話だけでオランダ語を習得できますか?」
と英語で聞いてみたところ、
「かなり難しくなるでしょうね。あなたたち学習者は小さい子どもではありませんから」
と言われました。
彼女曰く、難民と呼ばれる移民の中には、言語を構成している要素が何なのかを知らない人たちも多くいるため、オランダ語を学ぶ上で、名詞や形容詞といった要素を全く理解しない人たちもいるそうです。しかし、その場合「わかった」という感覚が掴みにくくなるため、多くの場合ドロップアウト(途中離脱)が起こるとのこと。
「この語学学校の授業を受ける人たちはある程度”well-educated(教育を受けている人)”でなければ続けることは難しいです。何故なら、言語が何で構成されているかという要素自体を知らずに、別の言語を習得することはとても難しいからです」
とおっしゃっていました。
オランダ語でオランダ語の文法を学ぶことは簡単なことではありません。
質問をしたくても、それをオランダ語でどう言えば良いのか…というストレスがつきまといます。満足に言えなかったこと、聞けなかったことをきちんと自分のノートに残し「次回までには調べてオランダ語で聞けるようにする」という課題に向けて学習する日々です。
1回90分の授業を週2日、2ヶ月半
私が受講したクラスには生徒が4名いて、それぞれ国も国籍も異なる人たちの集まりでした。
1回の授業は90分で、1つのチャプター(= 2つの文法)を90分で終わらせます。
最初はまず”Heb je vragen?(質問はありますか?)”から始まり、一人ひとり、前回の授業とその宿題から質問があるかどうかを聞かれます。
まず、質問がないことで叱咤激励を受けることはありません。(大人なので当たり前ですね)しかし、「質問がない」ということはある意味「勉強してきていない」と同じことです。講師の先生は「質問がたくさんあるということは、それだけ深く時間をかけて自己学習を行っていることですね」と言います。
語学学校で課される宿題はかなりヘビーで、1つの授業が終わると、その日の授業の復習と次のチャプターの予習が必要になるため、授業以外の時間で、週に4時間〜5時間は勉強に費やしていました。これがなかなかきつい最低限のタスクとしてのしかかってきます。
わかってはいたことですが、言語は時間をかけなければ伸びません。
それをとてつもなく実感する2ヶ月半でした。
<授業+復習予習>だけでは伸びない事実
しかし、自分が英語がわかるようになった頃の勉強量を考えたら、同じようなものだったなと思いました。大学受験の時に費やした英語の学習時間は凄まじいものだったと今でも覚えています。無論、1番勉強したのはアメリカ留学時代でしたが。
アメリカ留学時代に気がついたのは「授業を与えられるものだと認識している間は能力が伸びない」ということでした。それはつまり、オランダ語の先生が言うところの「質問がないということは、学習が十分に深まっていない」ということです。
関西弁で言えば、
「ちゃんと勉強しとったら(初心者なんやから)質問くらいあるがろやい!」
ですね。笑
また、「授業+予習復習以外の時間に何をしているか」もまた大切だということが見えてきます。オランダ語の授業を2ヶ月半受けている間、私はオランダ語の音声を耳から入れることにも注力しました。授業で先生が何を言っているかがわからないのは、圧倒的に「自分でオランダ語を聞く量」が足りていないと感じたのです。
もう一歩、生身の人間を相手にしてインタラクション込みで「オランダ語を聞く」という機会を積極的に取り入れる必要があったのですが、なかなかそれだけの時間を見つけることができずにいました。次のA2コースからはそれも積極的に取り入れていこうと思います。
要は、授業に関すること以外でどれだけ学習しているか
何事もそうですが、「習っている時間さえあれば」と思っている間は伸びません。どんな名プレイヤーも、全体練習以外の時に自主練を続けています。その中の気付きや発見を、自分の中に上手く落とし込むことができてこそ、他人よりも伸びていくのではないでしょうか。
私自身、2ヶ月半オランダ語をみっちりと学習し、改めてそれに気がつきました。しかし、人間というのは甘い方に流れていきたがります。
「先生の教え方が上手くないから伸びない」と不満を漏らしたりするものです。もちろん講師の教え方が「伸び率」を左右することはあるでしょう。
しかし正直なところ、私に2ヶ月間オランダ語を指導してくれた初老の先生も、決して「教え方がうまい」とは言えなかったように思います。言語習得に必要ないわゆる4技能を意識して授業をしてくれていたかと言えば、そんな気はしません。笑
しかし、彼女は授業の時にそこにいて、私たちの質問には専門的な立場から答えてくれます。それはつまり、こちらの質問がきちんと用意されている状況下において、彼女は十分な役目を果たしているということです。講師や教師は「マジシャン」ではありません。もちろん、学習者である私たちのモチベーションを維持する能力が高ければ高いほど、それは「良い先生」として評価を受けるきっかけになるでしょう。しかし、学習とは「本人の意欲の問題」であることは往々にしてあると思います。
つまり(大人の場合、特に)指導方法云々以前に、学習者が主体的であるかということが、(大人の)言語習得には問われるのではないかと感じました。
来月からはA2コースへ!
そんな私ですが、早くもA2コースへの申し込みを済ませ、予習を始めています。時に娘のオランダ語の絵本を読み、オランダ語のテレビを積極的に観るようにして、自分をきちんと言語へ向かわせるように意識しています。
日本でも大人向けの語学学校はたくさんありますが、十分に語学をマスターできるようになる人はかなり限られているように思います。それはつまり、勉強に割く時間の見つけにくさと、言語という壁への精神的なコミットメントがなかなか実らないからかもしれません。
個人的に、言語習得はダイエットより結果が見えにくく、難しいと思っている私ですが、何とかオランダ語にしがみつきたい!という気持ちを絶やさぬよう、日々、子育てと仕事の間で学ぶ姿勢を忘れないようにしたいと思います!