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火山はどうやって出来て行ったのか?


普段、神話を研究している私だが、実はもう一つの専門分野に自然地理分野がある。

地球そのもの、また山や海という自然そのものは、一体どうやって出来て行ったのか?。あまり書いて来なかったが、そろそろ火山の神ペレの神話研究に現実的な地学も必要になって来そうなので、火山の形成について書いておこうと思う。


プレートテクトニクスという言葉を聴いたことがあるだろうか?

そこには、「昔地球の大陸は、一つにまとまっていた」という説があった。

それをパンゲア大陸と呼び、その一まとまりだった大陸が移動して今の地球の陸地が形成されたと唱えたのが、アルフレッド・ウェゲナーである。

彼は元々気象学者であったが、1912年に、この大陸移動説を唱えた。

しかし、「そんな筈がない」と、当時はその理論は
どこにも受け入れられず、受け入れられたのは、皮肉にも彼の死後であった。

まるで今のコロナ騒動を見てる様である。きちんとウィルスやワクチンを検証している科学者を陰謀論者と叩く金の亡者と直感力の欠乏した大衆。
まぁそれはいいとして…。

それまでは、なぜ山が出来るのか?という理由は、地球が縮んでそのシワの部分が山だ…とか、また逆に膨張して割れ目からマントルの熱い岩が湧き出しているという様な、メカニズムが無い、つまり根拠の無い説が存在するだけだったのだ。

しかも日本に於いては、地史中心主義であった地質学会に於いてプレートテクトニクスの受容が非常に遅れた。現在起きていることで、過去の全てを説明しようとするべきでは無いと。

しかし、プレートテクトニクスは徐々に受け入れられて行く。地質学ではなく、地形学に於いては、海溝や山脈などの大地系や、地震による断層、海岸の変動メカニズムは、プレートテクトニクスで説明ができる!と。

そして、付加体という堆積物の概念が登場する。日本列島とは、付加体のかたまりと言っても過言では無いほど、付加体に縁のある国である。

今では日本は島国という認識であるが、その日本もパンゲア大陸の一部であった訳だ。つまり日本はユーラシア大陸から、2500万年前に切り離されたと。それ自体がプレートという概念が無いと説明は不可能である。

このユーラシア大陸の端っこが、海洋プレートの沈み込みにより、水分を含んだプレートの水が陸側のプレーと合わさる時、水が加わると溶け易くなるマントルが溶けて、玄武岩質マグマが出来る。溶けて体積の増えたマグマが蒸気と共に吹き出し火山となるのだが、それを繰り返しているうちに、とうとう大陸の端っこはきり離れてしまった。そこに海の水が流れ込んで出来たのが、今の日本海である。

つまり、プレートが動くから、火山が出来て、その地盤が脆くなり地殻変動が起きて、大陸が切り離せれた日本列島が出来上がったのだ。もちろんこれは、1日にして出来上がったという意味ではなく、時間をかけてそうなったのだ。

しかしこの、日本列島誕生の物語すら、プレートテクトニクスの理論が無ければ今も釈然としないままであっただろう。

むかしむかし、地球の中には大ナマズが居て、怒って大暴れしました、すると大陸に大地震が起き、地面が割れて日本列島が出来ましたとさ!という、
日本昔ばなしの様なものが、これが科学であるという時代を、今だに生きていたかも知れないのだ。

大陸移動説からの、プレートテクトニクス理論が生まれてから、後から様々な物事が分かって来た。地球の地磁気の方向が度々入れ替わっていることや、火山の出来る場所や地震の起こる場所は、何となく線で結ぶことが出来る等。この研究結果は、陸や海の下にはプレートが存在し、そのプレートの境目に、火山や地震が起こることが説明出来る。そして、そのプレートが動くから、地上での地磁気の方向が変化するという理屈も通る様になったのだ。

ただ、例外もある。

プレートの沈み込み地帯、つまりプレートの境目で火山が出来ると言えるのだが、しかし、プレートのど真ん中にあるハワイはなぜ火山があるのだろう??。

ハワイに関しては特別で(アフリカにもあるが)、ホットスポットというマグマの噴き出る穴があり、その穴の下、つまりプレートの下に、直接マグマを溜めているホットプルームというマグマ溜まりの場所がある。ホットプルームはプレートの下にあるので動かない。しかしプレートを突き破り上に出来た火山の島は、プレート移動で少しずつ西へ移動しているのだ。ゆで卵の殻だけが、卵をスライドして動く様な感じである。

これが、ハワイ諸島が並んでいる理由である。
プレートの移動と共に、島は移動し、ホットスポットからまた新たなマグマが噴き出ては、また新たな島が作られて行くのだろう。

過去に出来た島々が西へ、そして北へと続く。

ハワイ諸島とその上にある天皇海山列が、なぜ列になっているのか?それだけで、ホットスポットの位置は変わらず、プレートが動いていることが説明が出来る。

この様にしてプレート運動によって、海のプレートが運んだ水が染み込み陸のプレートのマグマが溶けて水と共に水蒸気噴火をする。そこから出た水を含んだマグマが溶岩となり、それが噴き出たのが噴火であり、その溶けた溶岩が積み重なったものが火山となる。

なので、どこのプレートのどこの地殻を通って来たか?で、マグマの質は違い、海洋プレートのマントルから直に出ているハワイのホットスポットからのものは、サラサラとした玄武岩であり、
その一方、粘性の強い安山岩や流紋岩は大陸のプレートから噴出している。その他ガスを含むスコリア、軽石やガラスなど、その時の温度や噴火の際に通った地面の地質等の条件により、噴出物は様々である。

ペレの涙(ペリドット )や、ペレの毛(繊維質ガラス)は、その条件の産物である。

この様にして火山は形成されて行った。

2023.7.6


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