シナリオライターの映画観て歩る記NO.4
音楽映画その1 ロック
ボヘミアン・ラプソディに喝采
映画少女だった中学生の頃から、多くのことを映画から学びました。
昭和20年(1945年)から、たくさんのアメリカ文化、映画や音楽、ファッションが入って来ました。
中でも音楽を主体にした映画に魅了された日々でした。
それで今回から3回に分けて音楽映画の話をしていきます。
目次1 ボヘミアン・ラプソディ
2 T H I S I S I T
3 ロケットマン
1回目はロックから始めます。
私はロックが大好き💕 というのは、実はロックで元気を取り戻したことがあったのです。
50歳の時でした。脚本の仕事がバッタリ途絶えてしまって、私は落ち込んでうつうつとしていました。
することもないので娘たちが持っていたレコード、当時はLP盤を1枚ずつ聴いていきました。
すると、バラードよりロック系の曲に魂が揺さぶられ、50代のしょぼくれたオバサンが生き返って、ヴァン・ヘイレンやボン・ジョビのCDを聴いたり、ライブにも行くようになりました。
初めてヴァン・へイレンのライブに行って、地響きするようなギターやドラムスに感動しました。
ステージと観客が一体となって歌い、リズムを取っているのです。こういう場があるのだ!生きていてよかった!と思いました。
先ごろ、ギターの名手のエディが亡くなったことは、悲しいことでした。
クイーンが日本公演に来た頃、私は脚本の仕事と家事で忙しい最中でした。
のちにロンドンに行った時、クイーンのCDを買って来ました。
ボヘミアン・ラプソディが2018年に公開され、クイーンの映画とあって待ちかねて駆けつけました。
映画はフレディの生涯と、クイーンの結成と世界的快進撃てを丁寧にかつスピーデイに描いていきます。
制作から完成まで8年かかったとパンフレットにありました。
⭐️
スクリーンにフレディが登場するや、
もうワクワク。身を乗り出しました。
この映画を観るのは4回か5回か。
応援上映にも行きました。これはスクリーンと一緒に声を出して歌っても、立ち上ってリズムを取ってもいい。まさにライブ感覚に浸ることが出来るんです。
フレディに扮するラミ・マレックには、全身にフレディ魂がみなぎっています。指先、脚から爪先までビシッと力が通って、あごを上げマイクを振り上げて歌う姿に感動します。
ギターのブライアン・メイは、本当のブライアンが「自分かと思う」ほどに
姿かたちがそっくりなのが嬉しい。
ドラムのロジャーもベースのジョンも演奏する姿は、ミュージシャンになりきっているようでした。
フレディはエイズにより45歳で他界。
その死は惜しまれますが、大輪の花を咲かせて世界にその輝きをもたらしました。
映画のラスト20分はライブを再現。実際にその場にいるように、たっぷりライブに浸らせてくれます。
スクリーンの中の観客と一緒に歌い、手拍子を取り、歓声をあげて.……。
何度観ても熱い感動が込み上げます。
フレディの生涯を思うと、私たちも命ある限り、精一杯生きなければ!
そんなエールと高揚感をもたらすラストシーンに、明日への活力を貰うことが出来ました。
⭐
️
2 マイケル・ジャクソン
THIS IS IT
これは2009年のドキュメンタリー。
ロンドン公演のリハーサルを収録したもの。
7月に公演を控えていた6月25日に、マイケルの急死により公演は幻になって、その記録が残されたのでした。
単なる練習風景ではなく、本番さながらの完成度が高く、マイケルの気迫には感動します。
舞台のバックダンサーのオーデションには大勢のダンサーが応募していて、
「マイケルと同じ舞台に立てると思うだけ感激する」と涙ぐんでいました。
マイケルを迎えて歌やダンスのリハーサルが始まると、そこに居合わせるスタッフたちの目がマイケルに集中し緊張
するのが分かります。
誰もがマイケルのひとこと、小さな指示に注目しています。皆、マイケルを尊敬し愛しているのでしょう。
マイケルの放つオーラが広いスタジオに放たれ、のびやかな歌声、キレのいいあの独特のダンスが繰り返され、
納得のいくまでリハーサルが続きます。舞台の完成度を追求する気迫。
私生活のことなど取り沙汰されましたが、これだけの才能と魅力は不世出でありましょう。
公演が実現したらどんなに素晴らしかったか。
このドキュメンタリーでも、スリラーや数々の歌やダンスを観ることが出来ます。
いくつかの映画館では、終わった時にライブのように一斉に拍手が起きたというのも分かります。私が行った映画館では拍手もなくて残念でした。
このドキュメンタリーはマイケルを後世に伝えるものとなりましよう。
1987年のこと。マイケルが初来日した時、チケットが手に入って見に行ったのですが席は最上階の後ろで、マイケルはゴマつぶぐらいしか見えませんでした。
でも本物がそこに居るのだと興奮したのを覚えています。
⭐️
3 ロケットマン
エルトン・ジョン
これはエルトン・ジョンの半生を描いたミュージカル映画。
2019年に公開されました。
エルトン・ジョンの柔らかい歌声は心地良く、聴いていると自然に体が動いてリズムをとっています。
奇抜な服装をしているグラビア写真に
変わった人なのか…
でも音楽の世界では天才的な才能を持っていて、多くのミュージシャンの信頼を集めている人と思っていました。
武道館のライブに行ったことがあります。ビリー・ジョエルとのジョイントコンサートでした。
その時も大っきな帽子を被って、笑いを取っていましたっけ。
舞台にピアノが2台向かい合わせに置かれて、2人が掛け合いで歌うのです。
楽しいライブでした。
そんなエルトンの半生を知ることになるこの映画でした。
幼少期から時系列に、丁寧に生い立ちが描かれていきます。
こういう世界的な天才は、どんなふうに世に出ていくのか。興味あります。
人の成長に大事な幼少期に、両親の愛を受けていない様子。彼の心の内を思いやって切なくなりました。
抱きしめてほしい。その渇望は終生消えることはなかったのでしょう。
名を成してからの数々のヒット曲や音楽シーンがグイグイと迫ってきます。
まさにミュージカル映画。
それは充分に楽しめて、堪能したのですが、映画を観終わったあとに、私は切なさが残っていました。
ドラックやお酒、性との葛藤、依存性のことなど、栄光の後ろにあった辛い日々を思ってしまうのです。
この映画で私が気になったのは、タイトルでした。
ロケットマンはヒット曲から取ったということですが、私は宇宙に打ち上げるロケットかと勘違い(笑)して。
外国映画を日本で上映する時、日本向きのタイトルを付けると聞いたことがあります。
ロケットマンに、いいサブタイトルがあったらよかった。
ドラマとして切なさとミュージカルの賑やかさが、圧倒的な量感で迫ってきました。
音楽と映像の組合せがあればこそです。
了