自分の声を聞くと相手の気持ちがわかる
何かの講演に行って、内容は素晴らしいのに、惹きつけられるものがなかったり、内容はそうでもないのになぜか大いに感動したり、共鳴したりしたことはありませんか?人に何かを伝える時に、声のトーン、ピッチ、質感、音量、声色などが、その人の印象を全く変えてしまうことがよくあります。その人が伝えようとする内容以上に、一人一人の声のもつ様々な要素が相手に影響を与えるためです。
声にはその人間の深み、感じ方や考え方、知性が如実にでるだけでなく、その時々の心身の状態があらわになります。私の接する生徒さん達は、セッションに入る時と終わった後では、声が全く違うことがしばしばです。最初は、ほとんどの人の声が体の中から出ておらず、頭に上っており、人によっては、顔の上半分のみから声が出ている人、内臓を押しつぶしたような声の人、鼻が詰まっていて苦しそうな声の人、など様々です。彼らに一様に言えることは、皆、自分の声を聴いていないということ。「声、変わってるのわかる?」「自分の声聴いてますか?」と私はしばしば問いかけるのですが、「え?そうですか?全然気づきませんでした。」と、私の声は聴いていても、自分の声には注意を払ったことがないという人が意外に多いのです。
日常、自分の声を聴いていると、今日は胃のあたりでエネルギーが滞っているなとか、今日は仙骨の周りが固まっているからこんな声になっているなとか、だんだんわかるようになってきます。悲しい気持ちの時はこんな声だな、こんな色の声の時は怒りが出てきてるなとか、自分の声をよく知ることで、自分の心の動きを理解することができるようになります。 声は体のエネルギーの流れのバロメーターだと言えるでしょう。
体だけではなく、実は、声は空間とも密接な関係があります。体が開いてくるにつれて、体内で共鳴する部分が増え、口を通って外の世界へと出ていく声は、今度は部屋の壁や天井に当たってさらに共鳴していきます。空気を揺らし、震わせるのです。人前でよく話をされる方は、どっちの方向に顔を向けて話すかで、空間の響きが変わってきて、その日の印象も大きく変わることでしょう。
自分の声をよく聴き、十分に感じながら話をするだけで、自分をもっと正直にシェアすることができ、相手もよく感じられるようになります。面白いもので、聴いているのは自分の声ですが、聴くことによって、相手の考えていることや感じていることが、こちらにも伝わってきます。
日々の練習としては、まず自分の声を聴く→どのあたりから声が出ているか感じる→空間にどのように響いているか(または響いていないか)観察する、を実行してみましょう。今まで気づかなかった発見があるかもしれません。
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