骨格の三つの輪で人生のバランス感覚を鍛える〜宇宙を支える環椎
骨格の三つの輪の一つは、背骨の第一頸椎にあります。環椎(かんつい)と呼ばれます。この骨、別名をアトラスと言います。頭の上に天空を支えるギリシャ神話の神様、アトラスにちなんで、つけられました。
環椎(かんつい)は、頭を支える頸椎全体の要(かなめ)であり、第二頸椎とともに、頭頚部回旋の約50%を司どっていますが、他の頸椎と比べて、特徴的な形態をしています。
頭を支える土台、頭の動きの全てを司るこの輪っかは、よく見てみると、頭蓋骨の底に開いた穴の上の後方に、位置して、頭蓋骨の受け皿になっています。
下から頭を支えるこの感じ、アトラスの名前の由縁がよくわかります。
第一頸椎と頭の不整合が起こると、首の神経や頸椎動脈を圧迫し、脳から体全体への神経の伝達を妨げるだけではなく、近接している脳幹の働きにも影響を与えます。昨今、コンピューターや携帯を見る頻度が増えてきており、頭を突き出したり、ずっと下を向いていることで、姿勢が歪んできて、視界に靄がかかったり、もやもやしたりすることがあるかと思いますが、脳幹は、自律神経やホルモンなどに大きく関わり、免疫機能や体温調節、睡眠といった生命維持の機能を管理していますので、少しのズレで、こうした症状のみならず、首の痛み・頚椎椎間板ヘルニアや頭痛、めまい、自律神経失調症等など、様々な体の不具合が起こってきます。
一つ一つの骨や関節が担っている役割をフルに使うことで、私たちの体のメカニズムは機能しています。普段から姿勢を見直したり、呼吸に注意を払ったり、体のバランスを意識すれば、自分の体の仕組みがわかり、与えられたこのギフトを長く大事に使うことができるでしょう。
さて、それでは第一頸椎を、自分の意識の中に持って来てみしょう。
あごを出したり、顔を前に突き出している姿勢が多いのでしたら、まずは頭を定位置に戻しましょう。
第一頸椎の環椎(かんつい)を感じてみてください。位置ですが、ちょうど鼻の下から後ろに線を引いたところぐらいにあります。背骨の第一番の骨は、思ったよりも高い位置にありますね。そして、環椎(かんつい)と頭蓋骨のつなぎ目を、想像して見てください。そうそう、頭蓋骨の底の穴の後方が、環椎(かんつい)の窪みと繋がっています。アトラスが頭蓋骨を支えているのを想像してみてください。頭の重みは、頭蓋骨がバランス良く支えられている時、体重の10%ほどと言われています。体重が50キロの人だったら、5キロの重みを体の上に乗せている感じです。5キロは結構な重みですから、力づくでは支えられません。なので、体の中をスッと通る線を感じ、重力を使います。頭が前に出ていると、この重みはさらに増しますので、自分で感じてみてください。
息を吐きながら、目を緩めて、あごをほんの少し、下に下げます。こうすることによって、第一頸椎と頭蓋骨の間に少し空間ができます。そして、登頂が天井または空に向かって伸びていくのを想像してみてください。首の中に空間ができ、胴体が中から広がっていくのが感じられますか?胴体の中をスーっと通っていく一本の線が感じられたら、オッケーです。足がどっしりと感じられますか?座っているなら、左右の坐骨がバランス良く胴体を支えていますか?
環椎(かんつい)は実際に触ってみることはできませんが、その位置や頭蓋骨との関係を意識できると、縮んでいた体が中から伸びる感覚、体の中のスッと通る一本の線の感覚がつかめるようになります。
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