日本は何処へ〜文明と自然
とある農場を見学を訪問した帰り、家の最寄り駅に降り立った時のこと。突然目に入ってきた駅前の風景。バランスが崩れている! コンクリートの地面、高い建物、メタリックなスカルプチャー。硬い。痛い。柔らかいもの、優しいものが見当たらない。短時間でも自然の中に身を置くことで、体内の時空感覚計が鋭敏に変化を読み取っているせいだろう。いつもは気にもとめないこの風景がとても不自然に感じられる。
機能的に便利に作らないといけないのはわかるけど、ここまで自然を取り壊してしまわないといけなかったのかな。本当に一件5000万円の高層ビルマンションが必要だったのかな。景観や自然を崩してまで?この環境の中では人はとても小さく見える。存在感が微小で環境との関係性は希薄だ。
何も田舎が良くて都会がだめということではないが、都市計画する人にはバランスをもう少し考えてほしいと思う。もう少し木があって、花が咲いていて、季節がわかる自然があれば、人は精気を取り戻せる。今の季節だったら、金木犀なんかが駅に行く道なりにあって、芳香豊かだったら、仕事に行く気分も変わるだろう。アロママッサージなんか要らなくなるかもしれない。ああ、そういえば、ニューヨークでそんなことをやろうとしていた人がいた。名前は覚えていないけど、ビルの表層という表層、窓という窓、通りという通りから緑が吹き出してきている彼のデザインは印象深かった。
それが無理なら、都会に生きる私達は自分の中に自然を育てることが必須だ。農場から帰ってくると、今朝方その狭さや硬さが嫌になってきていたマンションは、精気を取り戻していた。というか、私の中の自然が大きくなったので、人工的なものとのバランスがとれるようになっただけなのだろう。