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たのしい感覚

「最後にたのしかったのはいつですか?」と聞かれて、皆さんはすぐに答えられますか? 忙しい現代人にとって、「たのしむ」ことは、簡単ではないようで、私がこの質問をすると、生徒さん達は、「実は全く思い出せません。」と愕然とされる方が多いのです。「たのしい」が思い出せないのは、単に私たちが忙しいからだけではないような気がします。 

「たのしい」って、一体どんな感覚なのでしょう?。 
日本語では「たのしい」に「愉しい」と「楽しい」の二種類があり、一般的には、 

楽しい=与えられたもので楽しく過ごす
愉しい=自分の内から生まれるたのしい状態
 
と定義されているようです。

「楽しい」には、「与えられたもので」という受け身の感覚があり、「愉しい」には、外からの状況とは直接関係がないかもしれない「自分の内の状態」で主体的な感覚があります。仕事が楽しくなくても愉しめるとか、毎日何がある訳でもないが、愉しい状態にあるというのもわかりますね。

実は、日本語だけではなく、英語にも少なくとも二種類の「たのしい」があります。Fun と Joyです。

以前、同僚のダンスの先生が、生徒の努力が足りないと憂えていた時、こういうことを仰っていました。Fun と Joy は違うんだ。彼らは「Fun」のたのしさは、よく知っているけど、努力した末に味わえる「Joy」のたのしさは知らない。」
 「Joy」は、何か苦しいことを経て、やっと辿りついたところかもしれないし、何かに出会って深く感動した時かもしれない。その感覚が持続する自分の中の状態。それに比べて、「Fun」(楽しい)は、瞬時、瞬時、何かをやったり、経験している時の気持ち。「Fun」は結果に焦点があり、「Joy」はプロセスに焦点があると言えるかもしれませんね。彼は、「努力した末」と言いましたが、「Joy」のたのしさは、「努力する」過程で、自分と向き合うことになるから、そこで新たな発見を得るから、たのしいんですね。

苦しくても辛くてもたのしい。前に進んだり、止まったり、寄り道したりする自分を感じているからたのしい。ダメだなあと思い、自分も捨てたもんじゃないと思い直し、ああやっぱりできない、そんな自分頑張ってるなあって。それは、「Fun」のたのしさのような、ドキドキワクワクとは質が違います。「自分を味わう」ふか〜いたのしさなんです。

 あ!英語でもう一つ「たのしい」がありました!Pleasure です。こちらは、もっと肉体的、動物的な「味わう」感があり、喜び、悦び、快楽、心地よい満足感などを表す時に使います。
 

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