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学校は人間を育てるところか? (その三)~ 自由民として学ぶ

夢と希望を抱えて1989年に渡米。その後、7年間大学院で勉強し、修士号を獲得、そして17年間、大学で教鞭をとりました。アメリカで言われるところの、リベラル・アーツ・カレッジです。

リベラルアーツ・カレッジ。

日本の一般教養とは違い、もともと古代ギリシャで提唱された概念です。自由民と非自由民に分けられていた時代背景での、自由民として学ぶ技術のことです。プラトンは、よき哲学者、よき統治者、社会をよくするリーダーとなるための必須の学問として文法、修辞学、論理学、算数、幾何、天文、音楽をリベラルアーツと定義していたと言います。その本質は、「新しい知識を得ることで、その人自身が成長すること」です。

アメリカのリベラルアーツ・カレッジの本来のゴールは、

  • 読み書きの知力と物事を批判的に思考できる能力を養い、 

  • 自分が所属するコミュニティに対しての道徳的、倫理的な責任感を育て、

  • 合理的に理性を持って思考し、知性を使って情報を分析し、 

  • 人に対しては、慈愛と公平さを持って対応し、 

  • 生涯をかけて新しい情報と概念を学び続け、

  • 芸術や文学の美を鑑賞し、愉しみを得、それを必要に応じてインスピレーションや励ましとし、 

  • 歴史上の過去から学び、将来を知性を持って形作ることに役立てて不必要な過ちを避け、 

  • 自身の業績やチャレンジの成功を持って自尊心を創造する
    https://en.wikipedia.org/wiki/Liberal_arts_colleges_in_the_United_States

なんです。

こんなに、一人一人の個人の成長に力を注いでいるなんて、素晴らしい!なんて包括的な人間教育なんだろう!これらのゴールを目指して切磋琢磨する生徒や先生の姿をたくさん見て来ました。

アメリカの大学には、日本の大学にはない厳しさとともに、先生と生徒の関係には、オープンさがありました。生徒が先生のことを学期の最後に評価できるシステムがあり、成績のことなど何か言いたいことがあるときは先生と直接話ができ、生徒に情熱があり、エネルギーも循環していて、本当に素晴らしい!!!やっぱりアメリカの大学に行ってよかった!アメリカの大学で教えて良かった!

 ただ。。。ひとつだけどうしても腑に落ちない点がありました。こんなにはっきりした、「個人の人間としての成長」を謳(うた)う教育の中に根付いていたのは、「競争意識」「結果思考」だったのです。

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