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「ビストロシンバ」菊地佑自さん、4月11日の答。
―デリバリー〝シンバーイーツ〟―
3月30日月曜・31日火曜・4月1日水曜は、東京にとって激動の3日間となった。それをストレートに、鮮明に映しているのが「ビストロシンバ」の動きだ。
30日は縮小営業を発表。しかし翌31日は「どう動いたら正しいのか、わからない」と葛藤。4月1日には1カ月間の長期休業を決定した。
1週間ではなく、補償もないうちに1カ月。誰もが驚いた菊地佑自シェフの決断は、どんな頭と心の動きから生まれたのだろう?
3月31日、350名分のキャンセル
僕らは「3密」といわれる前、2月からすでに消毒や空間除菌などしっかり対策をとっていました。だからこそ胸を張って営業できて、3月に入ってもお客さんは変わらずに来てくれた。
グループのキャンセルはあっても、常連さんや、満席で予約を受けられなかったお客さんに声をかけると来てくれましたから。
じつは、「ビストロシンバ」は開店初日から毎日ずっと満席で、この状態を続けるっていうことが僕のなかでこだわりでもあったんです。
席を減らしてはいましたが、すでに4月も埋まっていたので、3月30日の時点ではこのまま営業するつもりでした。
でも30日、小池都知事の緊急会見があったんです(週末の外出自粛に加え、夜の接客を伴う飲食店は避けるよう要請)。
この日はちょうど定休日だったので、ドカーンときたのは31日。
店に出ると、350名分(150件)ものキャンセルの電話が一気にきたんです。
自分は行きたいけど会社から止められているとか、同行者が気にして……とか。断るお客さんのほうも苦しいですよね。
2割くらいは来たいって言ってくださる人もいましたけど、本当は不安かもしれない。お店のことを応援しようって、無理しているのかもしれない。
そう考えると、もう、どう動くのが正しいかわからない。
この時点では補償(協力金)の話もなかったので、家賃とスタッフの給料をどうするか。なんなら早くロックダウンしてほしいって、補償もセットで、って。
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