「麦酒屋 るぷりん」西塚晃久さん、4月13日の答。
―みんなに寛容な通し営業―
メイド・イン・ジャパンのビールとワイン、スピリッツ、そして食材と料理。「クラフト」をテーマにする銀座「麦酒屋 るぷりん」、店主の西塚晃久さんには、同じ街に尊敬する昭和の店がある。
大衆割烹「三州屋 銀座店」、蕎麦とお食事処「泰明庵」。どちらも通し営業で、銀座で働くあらゆる人々に寛容な店。これからの在り方を考えた時、大先輩の店が彼の道標となってくれた。
もしも同情票なら、なんか違う
もうすぐ、4月21日にもう1店舗を開店するというタイミングだったんです。「麦酒屋 るぷりん」の一つ下の2階に。
昨年から準備を始めていて、当初は単に拡張して2フロアになるイメージ。新スタッフも入って、3階のほうも3月中旬までは賑わっていたから、モチベーションの高い状態でいた。
一転したのは、小池都知事の自粛要請があった3月の最終週。29日日曜に予定していた『酒場音楽プロジェクト』のライブ演奏をやめて、予約していたお客さんにもキャンセルしてもらい、臨時休業にしました。
すでに営業自粛している店も多いなか、自分たちだけ開けてもいいんだろうか?ってわからなくなって、一旦立ち止まって様子を見ようと思ったんです。足並みを揃えなきゃいけないのかなって。
この日、これからどうしていくかを考えました。
テイクアウトやお弁当?……たぶん常連さんは買いに来てくれると思うけど、もしも同情票で買ってくれるなら、なんか違う。お客さんが本当にそれを食べたくて、喜んで買ってくれるなら別だけど。
僕は父が営んでいた日本料理店で毎年おせち作りも手伝っていたので、衛生面などの厳しさとか、テイクアウトはそう簡単じゃないっていうことも知っています。
自分たちのフィールド外のことを新しく始めるより、いつもの分野で準備をしていったほうが喜ばれるんじゃないか。
そう考えて、消毒と換気に気を配って3密に気をつけながら、「麦酒屋 るぷりん」を続けることにしました。それが4月1日。
開けてみると、たしかにお客さんは減ったんですけど、常連さんがいつもより長居してゆっくり飲食してくれる。普段バタバタだから、吞むだけでさっと帰っていた人も食事をしてくれたり、店の使い方が変わりました。
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