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物事を観る、観く方法。…コブコレクションの思い出/ショパンのプレイエルと1864年製スタインウェイ

1800年代のプレイエルを毎日弾き、
プレイエル上で譜読みから始めるようになって以来、
世界に今ある、自分も持っていた「思い込み」と向き合う事となりました。

これまで良いとされていたピアノの音、音楽と、
19世紀のプレイエルの性質は全く違う。
そして、ショパン達は、そちらの音を聴いていた事実。

ピアノの音、その音楽、そのものへの沢山の思い込みを捨て、
音への価値観をゼロにし、
プレイエルに向き合わなければなりませんでした。

ペダル1つ、響き方1つ、歌い方1つ、消え方1つ、
フレーズ1つ、バランス1つ、デュナーミク1つ、
タッチ1つ、音色1つ、
そして、感性の置き方1つ。

最初は私も戸惑いだらけでした。
でも、現代の人々の言葉ではなく、プレイエルのみの言葉を聴くことに、
集中する。
その為に、歴史的音楽や楽器、資料を紐解く、
果てしない勉強。
答えはそちら側にあると、思うからです😌


その勉強がまた、今の「作られた」この時代とも何だか重なり。
本当に不思議なタイミングの導きで、
フォルテピアノの世界にご縁ができたと思います。

19世紀に、ピアノの音の性質が3~5年で目まぐるしく変わってゆく様子は、
まさに世界の価値観の大きな変化、最終的にはアメリカナイズされていく歴史そのものの様です。
それは、今どこのホールにも置かれているスタインウェイの音・価値観は、
本当に最良なのでしょうか、という所にも繋がり。。😌
アメリカの文化、ヨーロッパの文化、哲学、人生観、美意識、、
そんなものにも繋がってゆき。。

歴史的楽器博物館、イギリスのコブコレクションにて、
1864年製のスタインウェイを試弾させて頂いている時、
オーナー、コブさんがいらっしゃり、
「ピアノはこれ以上に進化する必要がどこにもないよね。最高だ、美しい。」
と仰りました。
その楽器は、豊かによく鳴る高音ではなく、とてもか細く繊細な、音も小さい高音、
スタインウェイであっても、1800年代のプレイエルととても似た性質を持っていました。

ショパンが所有したプレイエル。1848年製。
撮影と楽器達の試弾は訪問前に特別な許可を頂きました。夫に感謝。
修復家のマイケルは、ここコブコレクションから推薦、紹介して頂きました。
(我が家の元の修復家デイビッド・ウィンストン氏は引退の為。このショパンが所有した楽器もデイビッドが修復しました。)


その後のピアノは、どんどんと、「強い、大きな」、
いつまでも歌う、響きつづけるピアノへと変貌してゆきます。

でも、よく歌い、響いてしまうピアノでは「喋れ」ないのです。。
減衰する音の加減、切ってもふんわり残り繋がる絶妙な加減に、やはり意味があり。
ショパンの時代のピアノはまだ、「喋る」、発音のできるものでした。
響きの水に浸るようなモダンピアノの感覚とは、全く異なる世界です😌

そのスタインウェイを弾く私を、
通りがかりの方が描いて下さりサインを求めて下さりました🌱

私達が人生で、一瞬一瞬に何を選ぶのかは、
どんな価値観を持っているか、という結果。
価値観は、知識や経験で変わってゆくもの。

知らない内に持っている、沢山の「こうでなければ」という思い込み。
それを変えてゆく事は、それまでの学びや人生を否定する様にも思え、
大変なものかもしれません。(そうでは無いですが😌)

1つ1つ、自分の印象こそに疑問を持って、何かを知ってゆく。
自分の今の耳の価値観ですぐにジャッジするのではなく、
その姿勢を持ち続けたいです。😌

フォルテピアノを弾く事は、いつもそれを教えてくれ、
今の時代の眺め方、報道の見方にも繋がる事をよく感じます☘️

たくさんのコブさんのコレクション。
マリーアントワネット、ハイドン、リスト、
ビゼー、エルガーの所有したピアノもありました。
リストのピアノは壊れたままを残されていて、、面白かったです😊
広大な国立公園の中のマナーハウス(旧貴族や伯爵の館)が博物館となっています。

以下はコブコレクションのホームページです。
上の写真のそれぞれ楽器の音も聴けるので、是非訪れてみてください💞

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