バレンボイムのBAREMBOIM by Chris Maene
先週話題でした、バレンボイムさんのバレンボイムピアノ(by Steinway)
1800年代のプレイエルやエラールの様に平行弦ですが、
夫🇬🇧と阿部さん(調律師)に話題を投げると
2人からすぐさまマニアックなコメントがじゃんじゃん来まして、それにうけました先週でした😊
あはは😊
私の周りでもコンサートに行かれていた方も多かったので、せっかくなのでご紹介。
製作はChris Maeneさんですよ、と、阿部さん。
阿部さんは彼の作ったチェンバロを知っているそう。
Maeneさんは、スタインウェイの一番最初のピアノ、
”キッチンピアノ”のコピー楽器を作った方。
因みに、ステファン・ポレロもモダンピアノで
平行弦ピアノを作っているそう。
我が家のプレイエルの弦もS. Polleloです。
そして、ワルシャワのショパン協会のプレイエルを修復してる人だと思う、と夫🇬🇧
(よくおぼえているなぁ。。😊(笑))
確かにそうでした。
フォルテピアノ定番の、各メーカーのピアノも扱っている方。コピー楽器製作も。
Maeneさんの楽器の中でも、このBAREMBOIMは鍵盤も狭く作られている様で、
平行弦であることからも、フォルテピアノの感覚へ戻ろうとされていることを感じますね😌
19世紀のグランドピアノの非常に優れた独特の音色の多様性がどのように姿を消したかは、前々から私を驚かせていました。(by Maene)
こちらは、今19世紀のピアノを弾く度に、私も日々感じることです。
なぜこの素晴らしい特徴たちが、残されなかったのかと。。
今のピアノは、ベートーヴェンやショパン、ドビュッシー達が触り、聴いていたピアノとは
もう全く違う特徴、音、バランスになっています。
こちらの夫の意見、
モダンピアノは、如何様にも(指で)コントロールできる。奏者が主人。
でもピリオドピアノは、楽器と協力しなければならない。
音はピアノによって与えられ、奏者の好きな様には変えられない。
(リミットがある。)
この意見がまた、old piano好きな証明の様なコメントですが(笑)、でもまさにそうで😌
フォルテピアノは、オーケストラと性格が似ています。
例えば、ピッコロやバイオリン、それぞれの音の音量や音質には限りがあり。
それを変える事はできませんし、変える必要もありません。
ですので、「リミットがある」と言っても、
それは「何かができない」わけではなく、
性格・個性が存在する、という見方であり、
表現が貧しい訳でもなく、と言ったところです。😊
フォルテピアノも、その音域ごとに、既に性格を持っています。
平行弦であることで、それぞれの音域ももっと独立して聞こえてくれます。それぞれの場所で鳴る様に。
ですので、逆に音をまとめ繋げる時には、低音の倍音感覚を上手く使い、
モダンピアノとは全く違うバランス感覚、耳で、音楽を作ってゆきます。
高音もギラギラとは鳴らないのでか細くなりますが、
これはベッリーニのオペラアリアの、”叫ばれない美しく細い高音”と、
共通点を感じたりもします😌
オーケストラも、それぞれの楽器に既に個性があり、限られたその楽器の技量の範囲で歌いますが、
作曲家は前もって楽器の役割をちゃんと選び配置しています。
それぞれの楽器が健やかに、生きるままに音を出すだけで、
その楽曲の表現が出来上がるように作られている😌
オーボエでなく、クラリネットやホルンをその旋律に選ぶ時点で、
もうそこに音色、表現、表情、心が存在しています。
『音が与えられている。』
ですので、奏者は基本的な演奏は勿論しますが、
あまりにも余計な歌いこみなどはする必要がなく。
指揮者でもあるバレンボイムさんがこの様なピアノを求めるのも、とても納得な気がしています😌
フォルテピアノも、まずすることは、自分の音楽をする事ではなく、
楽器のそのままの特徴を聴くこと。
まずは表現せずフラットに弾き、そうして自然に出てくる音を確かめます。
すると、当時作曲家が書いた音は、その楽器、音域の性格に沿って作られている事が
本当によく解ります
そして、このような特徴も、指導や人間関係にも似ているといつも感じます。
自分の理想を押し付けるのではなく。
生徒さんやお相手そのものをまずひたすら観る、感じる事から。
与えられているもの、他をいかに生かすか、
という姿勢にいつも何度も戻らされる事が、
クラシック音楽をしていていつも学びであり、好きな所です😌💞
どんどんコントロールできるようになっていったモダンピアノ。
それはそれで、とても楽しい所も沢山ありますが、
無意識な内に、全てをコントロールし管理しようと発展してきた、現代社会の傾向、思考とも
少し似ているのかもしれませんね。
それらは、素晴らしい事も多くありますが、
そのままを生かす。
弱いものは、弱いままに。
リミットのある中での美しさ。
そんなことを伝えてくれるのも、またフォルテピアノだと感じるこの頃です。
ここ数年、ピアノ界でフォルテピアノがブームになって来ていることも、
何か大きな時代感覚の中での、自然な、
人間がふと立ち止まり、発展とは別の方向を眺める大切な流れなのかなと、
感じたりもしています。☘️
その大きな流れに身を任せつつ、信頼しつつ。。
私たちは、自分ができる小さなことを
コツコツとしてゆきたいものですね😌🐢🌱
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