壊れている?? 〜現代の耳と、当時の耳。
先日、神戸文化大ホールでウィーン式ピアノでショパンの協奏曲が演奏される機会があり、(ソリストは川口成彦さん。我が家へも度々お越し頂き、彼のご活動や音、お話から、私もいつも勉強させて頂いています。)
コンサートの前に指揮者でチェリストであらられる鈴木秀美様よりチャーミングなトークがなされました☘️
「もしかすると、皆様の耳には、ピアノが壊れているんじゃないかと聴こえるかもしれない。。
でもそれは、ピアノが悪いのではなく、皆さんの耳が悪いのです😉」
とお茶目にお話され、会場は笑いに包まれていましたが、
モダンピアノとはあまりにも性質が違う当時のフォルテピアノは、
やはり解説が共に無いと、誤解されたままになってしまう機会も多いのかもしれませんね😌🌿
それではやはり、楽器も可哀想で、、また、見えにくい(聞こえにくい)貴重な宝物がたくさんあるのに、もったいなく。。😊
私が東京の小さなサロンで演奏しました際も、一番後ろの席で聴いて下さっていた専門家さんは、
音が大きすぎると感じておられたそうなのですが、
モダンピアノ奏者の友人は、“響き”が足りないのではと心配してくれたのでしょう、
休憩中、「中蓋を開けてはどうか」と言う提案が入りました。
私は、それは “モダンピアノの耳”がその判断をさせてしまう、という事を思い、
その後少し解説を加えて、中蓋のあるまま、演奏を続けました。
響きが足りないのではなく、聴き方、耳の使い方が実は全く違うので、、
モダンピアノをよく知っているほど、無意識にモダンピアノと同じ響きやニュアンス、作品の形を求めてしまうのですね。。
私も最初ずっとそうだったので、、もう本当に、
その感覚がとてもとても解るのです。。。(笑)😊😌
その感覚を完全に捨て去るのに、私自身プレイエルを毎日弾いても、
1〜2年はかかったのではないかな?と思います。
ですので逆に、普段ピアノをあまり聴いていない方々の方が、
フォルテピアノのスタイルをすんなりと受け入れられる様です☘️
そして、フォルテピアノ奏者さん達は、この様な世界的に今あるモダンピアノの価値観の中で、理解がされにくい中ずっと弾いて来られていたのだな、、とも、
フォルテピアノを弾き始めて、その見えないご苦労と尊い継続の偉業をより感じました。
今は世界的にかなり流行って来ている所なので、音楽誌でも特集も多く、
理解が進んで来ている所ではないかと思います。
ちなみに、、🌱
プレイエルの中蓋は、閉めた方が
オルゴールなどと同じ原理で、響きは混ざり合い、広がります♡
開けると音は分散してしまい、音が大きくなる、という訳でもないのですね。
本当に面白いものですよね。。😊
そして、中蓋の「艶」も、表面のみにつけてあるので、
「閉めて弾くことが前提だったのかな?」と調律師さんと共にお話したりもしています。
(こちらは答えは解りません😊)
今年は2回目となりました関西の方のコンサートでは、
去年来て下さった方々が口を揃えて
「ピアノ(プレイエル)が変わったの?同じ楽器?
去年よりもすごく鳴っている様に聞こえました」
と仰る方が多く。。
去年一度経験した、それだけで、皆様の耳は
もう大きく変わられていたのですね😌✨
フォルテピアノには、音と音の間にたくさん微細な音があるのですが、、(音を切った後も。)
それらがあまりにも小さいので、最初は何も無いかの様に聴こえてしまうのです。。
そして、冒頭のコンサートのモダンオーケストラの皆さんも、
一度目のリハーサルでは「ピアノが小さすぎて聞こえない、、」と思ったそうですが、
二度目からは不思議に大きく聞こえたとか。。😌
人間の耳は、新たな経験するほどに変化して、精度が良くなってゆく。。
本当に神秘的で面白いなと思います😌
さて、そんな訳で、古楽器のコンサートでは
トークも定番となっていますが、
9月のデュオコンサートの様子が、まずはトークからアップされました。
そんなに大したお話はしていないのですが、、
手始めにどうぞ♪(o^^o)
里子さんのフルートの説明は、私ももっと聴きたかったです😊♪
里子さんの繊細なフルート、その演奏や技法から、
私も多くの「耳」をまた頂き。。
フルートの音は、もうこのニュアンスがないと物足りなくなってしまいました。。😊💦
プレイエルと同じく、かすれる様な、
隅っこにあるたくさんの微細にキラキラした音。
それは、自然の中にツルツルなものがなく、とても“細やかに”ザラザラしている、
その感触が心地良いのと似ていて、、「ナチュラル」に存在する音。
古楽器にしかないその音の魅力に、
はまり続けてしまいます😌💞
追記
過去のぶらあぼをふと読み返すと、全く同じ様な話題が(笑)
とても面白いので、笑えながら読めちゃいます😊
こちらも是非😊
20年前なんて、、どんなに大変だったろうと思います。。😅
そして、二胡のレコーディングの際、
二胡奏者さんも同じ様なお話をされていたことを思い起こします。
民族楽器なので、やはりフォルテピアノととても性質が似ています😌