『オペラ座の怪人』/パリ・オペラ座の秘密~1~
劇団四季『オペラ座の怪人』が劇場 "秋" で開幕しました。
新しいぴかぴかの劇場。
満席の客席も心強いですね。
『オペラ座の怪人』は実は私が初めてみたミュージカルでもあります。そんなこともあったのかもしれませんが、久しぶりに心に触れる、感慨深い公演となりました。
それから何回か見ていますが、今回、改めてこんなにバレエ関連のエピソードが満載だったのだな、と感じたので少しずつこちらで紹介してみようと思います。
ちなみに『オペラ座の怪人』のオペラ座はパリ・オペラ座に取材はしていますが、虚実が入り混じった劇場です。1880年、実際のパリ・オペラ座開場の1875年の後の事です。
まず、冒頭のかつてオペラ座の怪人が持っていた品々のオークションの場面に登場するマイヤーベヤーのオペラ『悪魔のロベール』。
さらり、とタイトルが出て来て特にそれ以上言及はありませんが、これは1831年に初演されたオペラであり、実は "初” のロマンティック・バレエ作品でもあります。
ちなみにロマンティック・バレエという言葉もしばしば作品の中に出てきますし、耳にすることもある単語かなと思いますが、その本当の意味を誤解されている方も多いよう。
「ロマンティック」という言葉からイメージするフリル、レースの世界がバレエのイメージと重なりやすいためだと思いますが、実はここでいう「ロマンティック」はその意味ではないのです。
では何の事?
ドイツで生まれた「ロマン主義」文学の「ロマンティック」の意味なのです。
「ロマン主義」文学というのは簡単に言えばそれまでの理性主義から解き放たれた、想像力の翼を羽ばたかせた自由な発想を肯定した文学運動。その文学運動がバレエとして花開いたのが「ロマンティック・バレエ」なのです。
この油彩を見てもわかるように、 "ゴシック・ロマン” あるいは "ゴシック・ホラー” に近いイメージと言った方が伝わりやすいかもしれません。
その「ロマンティック・バレエ」が最初に上演したのがオペラ「悪魔のロベール」の中の場面だったのです。
ちょっとだけ複雑な構造ですが、バレエの始めはオペラの中だった、という事ですね。
そんな重要な作品がいきなり出て来るのが冒頭シーンでした。
今回はここまで…。