バレエの中のドレス・コード
昨日ご紹介した展覧会が印象に残ったの理由はいくつかありますが、バレエにおけるドレス・コードの問題を大学の前期の講義で少し触れたこともありました。
分かりやすいのは『ジゼル』かもしれません。
心臓に持病のある村娘ジゼルが狩りに訪れた時に飲み物を求めて立ち寄った大公の娘バチルダ(実はジゼルの恋人アルブレヒトの許婚)にジゼル思わず触れてしまう、という場面があります。
これが初演されたのは1831年。
そのころには白いチュチュを群舞が着て大勢舞台に出られるほど白い薄手のコットンは安いものになっていましたが、鮮やかな光沢のあるシルクサテン、あるいは方向によって表情を変えるモワレといった素材は庶民から遠い存在でした。
今の感覚では分かりにくいと感じる点もありますが、当時の貴族と庶民の服装はスタイルだけではなく、素材感にも大きな違いがあったのです。だからこそあまりに綺麗な見たことのない質感の衣裳にジゼルが思わず、手を触れてしまう、というある意味においては非常識な行動に出たわけです。(物怖じしない少女ではなく、つい美しものに手を触れてしまったという状況なのです。)
この衣裳の違いは、一番最近の極めて優れた改訂版、アクラム・カーン版ジゼルでもよりわかりやすい形で表現されています。これは来年6月下旬~7月初旬に来日公演が決まっていますので、是非! 力強くお勧めします!
2018年に香港まで行った時にはこんなにこんなものを書いています。
nbsのお知らせは下記、詳細はこれからのようです。
日本では何キャストで見られるかしら?
バレエとドレス・コード、と聞くと見に行く時にドレス・コードの方が話題になることが多いですけれど、このような作品の中でのドレス・コードというのも面白い問題です。
バレエ・スエドワのドレス・コードは? そんなお話しまで行けるかどうか分かりませんが、8月6日19:30より、よろしければお越し下さいませ。
お待ちしております。