マシュー・ボーン版『赤い靴』の中のバレエ・リュス+α~3~
マシュー・ボーン版『赤い靴』映画が3月19日よりアンコール上映されています。
現状の予定は下記の通りとのこと。
[3/23(火)~4/1(木)]
連日…15:50 / 18:50~(終)20:45
※4/2(金)以降の上映スケジュール未定とのことなので、ご覧になれる方は是非!
そんな映画『赤い靴』で舞台となった国々を見てみると…。
舞台上でもはっきりと出て来るモンテ・カルロ。ここはバレエ・リュスがあの有名な『薔薇の精』を初演した場所でもありますし、後にバレエ・リュス・ド・モンテカルロにとっても重要な場所(名称に「モンテ・カルロ」が入っていたということだけではなく)でした。
1910年代からディアギレフのバレエ・リュスはモンテ・カルロで数か月にわたって作品制作をするようになり、劇場も本拠地も持たなかったディアギレフのバレエ・リュスにとってモンテ・カルロは本拠地ではないにしろ、極めて重要な場所となっていました。観客層の重なりもあり、多くの人が知っている事でした。
そして、バレエ・リュス解散後、その作品、衣裳・美術を引き継いだバレエ・リュス・ド・モンテカルロの芸術監督の一人ルネ・ブルムはモンテ・カルロ歌劇場の芸術監督も務めていた人物でした。
そんな関係もあり、バレエ・リュス・ド・モンテカルロにとってモンテ・カルロは重要な場所でもありました。
そしてイギリスのイメージも繰り返し登場します。
これはもちろんマシュー・ボーンが英国人で、作品の初演地がイギリスだということもあります。
ですが、イギリスはバレエ・リュスが結果的に、だったとはいえ(本当はパリでも上演予定だった)唯一の全幕バレエ作品『眠れる森の美女』を上演した場所としても特別な場所でした。(パリやモンテ・カルロとは違う意味で)
そんなイギリスで1930年代に大人気だったヴォードヴィルショー、 KEPPEL & BETTYのイメージが使われているのも色々想像がかきたてられます。
バレエ・リュスのディアギレフはそうしたヴォードヴィルショー自体や上演されている劇場と自分たちが上演すべき場所を分けて考えていました。
それを承知のマシュー・ボーンがここでこのヴォードヴィルショーにいわば「身を落とすペイジ」を描いています。ディアギレフの視線に近いと言えるでしょう。
何と、そのオリジナルは下記で見ることができます。
アメリカ出身のヴォードヴィルショーのパフォーマーで、1932年に英国公演を行った後移住1950年代にはフランク・シナトラと共演するなど活躍し続けた二人です。
私は実は映画を見るまで彼らのオリジナル映像を見たことはありませんでした。バレエがかなり昔から取り上げていた「エキゾティック」な国エジプトがこんな形でダンスに取り上げられてきたというのも興味深い点でした。
エジプトのバレエ、テーマにしたダンスを軸に考えてみるのも面白いかもしれないと思いました。
ちょっとまとまりがなくなりましたが、映画『赤い靴』はそんなバレエだけではない存在やバレエの在り方についても実はちょこちょこ触れているのです。
と、書いていたらもう一度見たいな、と思いが募ります。(本当は生で‥ですがまだそれは先になりそう)
宣伝多めで恐縮ですが…でも是非知って欲しい!、ので。
バレエ・リュスについては今月1回、31日(水)14:30~16:00
そして初のバレエ・リュス・ド・モンテカルロの世界についても同じ内容で2回開催します。
4月13日(火)19:30~21:00
4月17日(土)19:30~21:00
日本語で書かれた本がまさかの1冊もないバレエ・リュス・ド・モンテカルロについても今後ともバレエ・リュス、バレエ・スエドワと共にお伝えしていかれたらと思っています。
是非ご参加くださいませ。
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