パトリック・デュポン帰天(T-T)
エトワール、と言えば思い出す「enfant terrible(恐るべき子供)」と評されたダンサー。
驚くほどの身体能力と、何とも(男性にはあまり使わない表現かもしれませんが)独特のコケティッシュさ、フランス的洒脱さを持った派手な踊りは好き嫌いは別としても目が離せないタイプのダンサーでした。
パリ・オペラ座の90年代の栄光時代の立役者の一人。
私も幾度となく、オペラ座での活躍とあの観客の熱狂の中に身をおきました。きらきらとしたオーラを放ちつつ踊る姿は忘れられません。
日本でも(今年も開催されるという)バレエ・フェスティバルでのマリー・クロード・ピエトラガラとの輝かしい技と魅力のぶつかり合いも印象的でした。
事故にあったり色々あったデュポンですが、近年はレイラ・ダ・ロカ( avec Leïla Da Rocha)と「落ち着いた」「私たち」の日々を楽しんでいるという事しか知らなかったので、早すぎる死に驚いています。
10代のデュポン! パリ・オペラ座のフォワイエ・ド・ラ・ダンスでのレッスン風景も見ることができます。
そしてパリ・オペラ座エトワールだった頃の19歳のギエムのとパ・ド・ドゥも。
バレエは技術だけではないけれど、デュポンのこの跳躍の高さ!
ニジンスキーを見た人達がきっとそうであったように心が高鳴りますね。
色々あった人ですが、ダンサーとしては忘れられない、最盛期を見ることができて良かったと思うまさしく ”天才" の一人。
最後の日本公演は神奈川県民ホールでのワールドダンス的な公演だったのか、エルメス社主催で踊ったモーリス・ベジャール振付の『サロメ』だったのか、記憶が確かではありませんが、心より冥福を祈ります…。
ジョルジュ・ドンが亡くなった時に玉三郎が寄せて「あの世でも踊り続けているような気がします」(要約)と言う言葉が思い出されます。