バレエ・リュスの映画。
バレエ・リュスの映画、と聞いてディアギレフのバレエ・リュスを連想される方が多いかもしれませんが、これはバレエ・リュス・ド・モンテカルロの映画です。
2000年に行われた最初で最後のバレエ・リュス同窓会。
当初はNYだったのが予算の関係で急遽ルイジアナ州での開催となりました。行くことがあると思っていなかったルイジアナ州、初訪問となりました。生きているバレエ・リュス・ド・モンテカルロのダンサー達と話し、ハグし、食事を共にした忘れられない日々となりました。
近いとは言えないルイジアナまで飛んだ甲斐がありました。その後ハリケーンが来た時にもあの町が、そして書店がどうなっただろう…と何もできないことをもどかしく思いました。
バレエ・リュス・ド・モンテカルロはバレエ・リュスに比べて、彼らの作品を踊り継ぎ、美術・衣裳を継ぎ、新しい作品も生み出した存在でありながら長らく二流、三流の存在とみなされほとんど歴史的に忘れられた存在でした。
そうした中で行われたこの2000年の同窓会は彼らの存在意義が見直される大きな転機となりました。
この映画『バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び』が制作、公開されたことも大変重要です。撮影は同窓会時に始まっており、常にクルーが会場に帯同しており、映画化の話はすでに聞いていましたが公開はその5年後(日本はさらにあと2007年)となりました。その間になくなられた方もおり、本当に最後の瞬間に間に合った映画だったと言えるでしょう。
第二弾も企画があるという噂もありましたが、それは残念ながら今後も実現しそうにありません。
この映画が公開から2年後ではありましたが、日本でも公開されたのは本当に嬉しい事でした。ご連絡をいただき即決でお仕事を喜んでお受けしました。
原題は『BALLETS RUSSES』でした。首をかしげるタイトルが時折つけられる邦題ですが、これは納得の邦題と言えそう。少なくとも私は見てこのタイトルは内容を伝えているな、と感じました。
映画版は手掛けておりませんが、DVD版になった時に字幕についても関り、またリーフレットを全執筆した思い出深い作品でもあります。
日本語でまとめてよめるバレエ・リュス・ド・モンテカルロの資料は現在これだけなのです。
もうずいぶん経っているので本が出ている予定でしたが、残念ながら実現していないのでこれから!と思っています。
映画は現在日本で見るにはDVDを購入するしかないようですが是非今だからこそ再度公開してほしい作品です!
(以前はTSUTAYAさんでのレンタルが可能でしたが、現在は確認ができません。ちなみにTSUTAYAさんのDVD紹介はオンライン検索でヒットするのですが色々不思議な記載ミスが多いのでお気をつけ下さいませ!)
先日の『ホテルスヴィッツラハウス』でも繰り返し出て来た戦争下でバレエを踊る人達のリアルを描いた映画でもありますので、今のこの時代の心情んも通じるところが沢山あると思います。
そして、本当に生きる事=踊る事だった人達のひたむきな生き様な心に迫る映画です。
短いトレーラーだけは下記Youtubeで見る事ができます。
(映画にはアリシア・マルコワも登場します。会議には残念ながらご出席されなかったのですが…2004年の死去の前にぎりぎり間に合った映像です。)
DVDの発売時の下記チラシが出て来ました。
写真もあり、イメージが伝わるかなと思いすがどうでしょうか。
個人的には試写で感激して、珍しく落涙した映画です。担当者がいらしていたのでちょっと恥ずかしかったことも良く覚えています。まだマスク時代ではありませんでしたし、隠しようもなくて…。