バレエ動画・ダンス動画と慣れ
正直に言うと、COVID19までは資料としては見ていましたが、バレエ動画もダンス動画も苦手な部類でした。
え?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、やはり劇場でその場で自分の見たい部分を好き見ているのが舞台芸術。時には主役ではないところに注目するのも、オーケストラの指揮者見るのも観客の自由です。
映像ですと、その視点が固定化されてしまうこと(自分の見たい部分を勝手にクローズアップできない)もあり、どうしても飽きてしまう事が多かったのです。
もちろん、映像でもわ!っと引き込まれるプレルジョカージュの『ロミオとジュリエット』といった例外はあるものの、基本的には資料としてみる、という気分で入り込めずに見ていました。
(舞台が素晴らしくてDVDを購入してみたら映像にするとその魅力が映っていないとう作品もありますし)
ですが、今回COVID19で劇場が開いていない中、次々配信されるバレエ映像、ダンス映像を見ていたら、こういう事にも「慣れる」ものなのだな、と自分で思いました。
コンテンポラリー・ダンスを見始めた当初はどこを見たらいいのだろう?と考えながら見ていたのが、「慣れ」て普通に見られるようになったのと少し似ているかもしれません。
飽きる感覚はなくなりはしませんが、薄くなったのは事実です。
もしかしたら単に舞台を見たい欲、が強くてマヒしただけかもしれませんけれど。
そして、実際に劇場で舞台を見たい、とは強く思いますし、どこかの緑の狸が言ったような代替品には決してなり得ないと思いますけれど。
面白かったのは多くのオペラ・ハウスが試みていたバックを客席にして踊る(歌や演奏も)映像が多かったことでしょうか。
スタッフを沢山使えない、カメラの性能、照明の問題等からの苦肉の策という側面もありそうですが、空席をバックに踊る姿はいつかあそこに行こうとみている人達に訴えかける力もあるかもしれません。
再開後じわじわとそういう思いを持った人が劇場に足を運んでくれたらいいなと思います。
そろそろ無料配信が終わって有料配信に切り替わりつつあり、個人的には好ましい事だと思っています。
無料だから見るという人達から払ってもみたいという人達につなげていかないと実際に再開した時の観客になるのは難しいだろうと思うからです。
実際、無料配信の中にはバランシン作品やこの時期でなければ見られなかったような作品があった一方で再演されていないけれど重い白そうな個人的に見たいと思っていた作品は全く出てきませんでした。
どうしても一般的に響きやすい作品で、映像としてすぐに流せる状態になっているものを各バレエ団が選んだ結果でしょう。
ダンスは録画に加えて同時配信が世界各国から送られて、クオリティも様々でした。
踊りたい!という気持は伝わるものの、この状況でなければ見られたかな、と思うものもありましたし、簡単に世界がつながる感じをうまく生かした映像もありました。
あまりに数が多く、批評を誰もしないまま過ぎていった嵐のような時期だったと思います。
まだ終わっていませんが、これもそろそろ有料化の方向なのかな、と思います。
先日ご紹介した近藤良平と永積崇作品はこれまでみた舞台の雰囲気そのままでしたが、映像化にあたっての工夫も感じられました。
有料化することで求められるクォリティも変わってきます。ここから新しい世界が始まるのならそれは歓迎したいなと思いますし、私自身のバレエ動画・ダンス動画への視線、おもいも変わるかもしれません。
どうなるのでしょうか。
ありがとうございます。 欲しかった本やプログラムを購入し、Ballet Collectionの充実に励みたいと思います!